4.今月のオススメ図書 2021年下半期第166回芥川賞は砂川文次《すなかわぶんじ》著「ブラックボックス」、直木賞は今村翔吾《いまむらしょうご》著「塞王《さいおう》の楯《たて》」、米澤穂信《よねざわほのぶ》著「黒牢城《こくろうじょう》」に決まりました。そこで今回はそれぞれ受賞者の作品を紹介します。ぜひご利用下さい。 尚、今村祥吾著の「塞王の楯」、砂川文次著「ブラックボックス」は製作中です。今しばらくお待ちください。 @臆病な都市 砂川文次著 内容 新型コロナ感染拡大の前に書かれた、新鋭による問題作。鳥の不審死から始まった新型感染症流行の噂。その渦中に首都庁に勤めるKは巻き込まれていく……。組織の論理と不条理、怖れと善意の暴走を生々しく描く傑作。 A黒牢城 米澤穂信著 内容  第166回直木賞 信長を裏切った荒木村重と囚われの黒田官兵衛。二人の推理が歴史を動かす。 本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。 B満願 米澤穂信著 内容 人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは─。表題作をはじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマンなどが遭遇する6つの奇妙な事件を描いたミステリ短編集。 CIの悲劇 米澤穂信著 内容 市長肝いりのIターンプロジェクト。公務員たちが向き合ったのは、一癖ある「移住者」たちと、彼らの間で次々と発生する「謎」だった─。 Dじんかん 今村翔吾著 内容 戦国時代の三悪人の一人として名高い松永久秀《まつながひさひで》。その生涯を、絶望的貧困から立ち上がり、一国の城主として大成、さらに最後、織田信長に攻められ自害するまであまさず余さず描く。 E八本目の槍 今村翔吾著 内容 秀吉の配下となった八人の若者。七人は「賤ケ岳《しずがたけ》の七本槍」とよばれ、別々の道を進む。出世だけを願う者、「愛」だけを欲する者、「裏切り」だけを求められる者─。残る一人は、関ケ原ですべてを失った。この小説を読み終えたとき、その男、石田三成のことを、あなたは好きになるだろう。 F童《わらべ》の神 今村翔吾著 内容 平安の都に「童」と呼ばれる者たちがいた。かれらは鬼、土蜘蛛《つちぐも》、不知火《しらぬい》などの恐ろし気な名で呼ばれ、京人から蔑まれていた。一方、安倍晴明《あべのせいめい》が空前絶後の凶事と断じた日食の最中に、越後で生まれ落ちた桜姫丸《さくらひめまる》は、父と故郷を奪った京人《きょうびと》に復讐を誓っていた。京に赴いた桜姫丸は、童たちとともに、人の心と世の中を変えたいと、自らの誇りをかけて朝廷軍と壮絶に戦うが…。第10回角川春樹小説賞受賞作。 G羽州ぼろ鳶組シリーズ 今村翔吾著 全12巻 内容 かつて、江戸随一と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾。別名、「火喰鳥」─。しかし、五年前の火事が原因で、今は妻の深雪と貧乏浪人暮らし。そんな彼の元に出羽新庄藩から突然仕官の誘いが。壊滅した藩の火消組織を再建してほしいという。「ぼろ鳶」と揶揄される火消たちを率い、源吾は昔の輝きを取り戻すことができるのか。興奮必至、迫力の時代小説。 1.火喰鳥《ひくいどり》 2.夜哭烏《よなきがらす》 3.九紋龍《くもんりゅう》 4.鬼煙管《おにきせる》 5.菩薩花《ぼさつばな》 6.夢胡蝶《ゆめこちょう》 7.狐花火《きつねはなび》 8.玉麒麟《ぎょくきりん》 9.双風神《ふたつふうじん》 10.黄金雛《こがねびな》 11.襲大鳳《かさねおおとり》(上) 12.襲大鳳《かさねおおとり》(下) 主人公・松永源吾の男っぷりはもちろんですが、妻がカッコいい! 田中 談