4.今月のオススメ図書 今月はブクログ通信から「涙がこぼれる感動小説10選」をご紹介します。 以下、ブクログ通信からお借りしたものです。 大人になると、思いっきり泣ける機会は少なくなりますよね。泣きたいときでも我慢してしまったり、周囲の目が気になって感情を表現できなったりと、大人だからこその不自由さを感じたことがある人も多いかと思います。しかし、ときには思いっきり泣いて気持ちを発散することも大切です。 涙がこぼれるほど感動する小説を10作品ご紹介します。ブクログユーザーから高い評価を得ている作品や泣けると評判の人気作、ブクログがおすすめする感動作品を中心に集めました。家で過ごすひと時を、ぜひこちらの作品たちと共に過ごしてみてはいかがでしょうか。 1.『かがみの孤城』 きっと、あなたの忘れられない物語になる 辻村深月《つじむらみずき》著 直木賞作家の辻村深月さんの長編小説です。2017年に刊行され、翌2018年の本屋大賞を受賞しました。辻村さんの持ち味である繊細な心理描写が光る名作として、刊行後すぐに大きな注目を集めました。 あらすじ 中学生のこころは、学校に行けなくなり家に閉じこもる日々を送っていた。ある日、こころの目の前で突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先でこころが目にしたのは、まるでお城のような不思議な建物。そこには、こころと同じような境遇の中学生7人がいたのだった。城の中で、こころ達にはある課題が出されるのだったが─。 オススメのポイント! 本作は、ファンタジーのようでありミステリのようであり、群像劇のようでもある、さまざまな「カオ」を持った作品です。読み進めるうちに、本作に対するイメージはどんどん変わっていきます。読後には、きっと「読んで良かった」と思えるはず。 2.『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 疲れた心にそっと寄り添ってくれる物語 東野圭吾著 大人気作家・東野圭吾さんによる、心に響く長編小説です。2012年に角川書店より刊行され、第7回中央公論文芸賞を受賞しました。 あらすじ 悪事を働いた少年3人が偶然足を踏み入れたのは、あらゆる悩み相談に乗る不思議な雑貨店だった。廃業したはずの雑貨店に悩み相談の手紙が届いた。少年たちは勢いで悩み相談に乗ることを決め、不在の店主に代わって謎めいた手紙交換を始めるのだった。時空を超えた手紙によって、少年たちと雑貨店の不思議な共通点が明らかになっていく─。 オススメのポイント! 本作の魅力は、「不思議な雑貨店」と「手紙」です。近年はメールやSNSで人とやり取りすることが増えていますが、本作では「手紙」でのやり取りが重要な意味を持ちます。手紙を書く楽しさ、返事を待つもどかしさなど、アナログなやり取りならではの魅力を疑似体験できる作品です。出会いと別れの切なさ、人と人とのつながりの温かみを感じられる作品でもあります。 3.『旅猫リポート』 猫好きは号泣必至。猫好きでなくても号泣必至。 有川浩《ありかわひろ》著 『図書館戦争』『三匹のおっさん』などで知られる人気作家・有川浩さんによる、心に響く長編小説です。 あらすじ 子供の頃から引越しを繰り返してきたサトルの相棒は猫のナナ。とある理由でナナを手放さなければならなくなってしまったサトルは、ナナの引き取り手を探すため懐かしい人々を訪ねる旅に出る。それはサトルの生きてきた道を行く先々で再確認する旅でもあった─。波乱万丈な過去の秘密を抱えたサトルと相棒のナナの最後の旅の物語。 オススメのポイント! 主人公のサトルとナナの絆の深さに感動必至です。また、2人が旅する中で目にする美しい風景や優しい人々との出会いも、本作の魅力の一つだといえます。2人と一緒に旅している気持ちになれるので、なかなか外出できないときにもおすすめの作品です。互いを想い合う2人のやり取りに心が暖かくなること間違いなしです。ぜひ手に取ってみてください。 4.『そして、星の輝く夜がくる』 2つの震災を経験した教師の熱い物語 真山仁《まやまじん》著 企業買収の世界を描いた『ハゲタカ』で鮮烈なデビューを果たした真山仁さんによる長編小説です。 あらすじ 小野寺徹平は、東日本大震災で被災した東北の小学校に応援教師として赴任した。自身も阪神・淡路大震災で被災経験を持つ小野寺は、震災の爪痕が生々しく残る地で被災地が抱える問題と向き合うことになるのだった。6篇の物語を通して描かれる、被災地の厳しい現実とは─。 オススメのポイント! 2011年の3月11日を通して、今一度自分や大切な人のことを深く考える契機になる作品です。本作はフィクションですが、かなりリアルな描写によって被災地の生々しい様子が伝わってきます。テレビや新聞を通しては知ることのできない被災地の子供たちや学校の様子、被災地が抱える問題について考えさせられる注目すべき作品です。 5.『世界から猫が消えたなら』 命と猫、あなたはどちらを選びますか? 川村元気著 LINE上で連載され、2012年にマガジンハウスから単行本化された作品です。 あらすじ ある日、郵便局員の「僕」のもとに姿かたちがそっくりな「悪魔」がやって来た。悪魔は「僕」の余命がわずかであることを告げ、寿命を1日延ばす代わりに世界から何か一つ消し去ることを提案する。悪魔と取引し、電話や映画など身の回りの物を消すことで1日生き延びる「僕」。数日後、悪魔から猫を消すことを提案された「僕」は飼い猫の「キャベツ」のためにある決断をして─。 オススメのポイント! 「世界から猫がいなくなったとしたら」という設定がユニークな作品です。自分だったらどうするか、猫だけでなく電話や映画がこの世界から消えてしまったらどんな世界になるか、想像が膨らみます。また、猫の「キャベツ」のキャラクターがとてもいい味を出しているので、ぜひ注目してみてください。 6.『風が強く吹いている』 駅伝はこんなにも面白い競技だった! 三浦しをん著 直木賞作家・三浦しをんさんによる箱根駅伝を舞台にした青春小説です。 あらすじ 暴力事件を起こし部活を辞めた天才ランナー・カケルと、陸上強豪校出身で脚に古傷を持つハイジ。2人の偶然の出会いが、寛政大学陸上競技部の新たな歴史の幕開けとなった。格安学生寮・竹青荘の個性豊かな住人たちとカケルは、ハイジの指揮のもと箱根駅伝出場を目指して走り出すことになるが─。 オススメのポイント! 箱根駅伝を扱った小説ということで、爽やかなスポーツ青春物語をイメージするかもしれません。しかし、三浦しをんさんの作品はただの青春小説にとどまらない面白さが魅力です。個性豊かな10人のメンバーと、それぞれの走る理由にぐいぐい惹き込まれること必至! 7.『幸福な食卓』 哀しくても、ごはんを食べる日々は続いていく 瀬尾まいこ著 2004年に刊行された作品で、第26回吉川英治文学新人賞受賞作です。 あらすじ 「父さんは今日で父さんをやめようと思う」、佐和子の父はある日そう宣言した。母は家を出ることになり、元天才児の兄は大学を辞めて農業を始めると言う─。ちょっと変わった家族の在り方に、戸惑い生きる佐和子。しかし同じ塾に通う大浦くんと出会ったことで、少しずつ佐和子の考え方も変わっていくのだった…。 オススメのポイント! 物語序盤から家族が「崩壊」するという斬新なストーリーに衝撃を受ける作品です。一見すると悲壮な物語のように思えます。しかし、瀬尾さんの描くちょっと変わった、それでいてとても温かい家族の姿が本書の魅力です。何気ない毎日や家族の大切さを改めて気づかせてくれる作品です。 8.『きみのともだち』 みんなではなく「きみ」に読んでほしい物語 重松清著 みずみずしい感性で思春期の子供たちを描く作家・重松清さんによる短編小説集です。2005年に新潮社から刊行されました。 あらすじ 足の不自由な恵美ちゃんは、事故の原因を作った同級生を恨み周囲から孤立している。生まれつき病気がちな由香ちゃんは、入退院を繰り返していたので友達がいない。そんな2人はある事件をきっかけにクラスの中で浮いた存在になってしまうのだった─。学校の人気者、デキる転校生、八方美人…2人を取り巻く「みんな」の「ともだち」関係を通して、本当の友達とは何かを問いかける物語。 オススメのポイント! 思春期ならではの心の揺れや繊細な友達関係を思い出させる作品です。恵美ちゃんと由香ちゃんの友情、クラスメイトたちの姿を通して、今一度「友達って何?」と考えてしまうはず。作中ではいくつもの「ともだち」が描かれ、時に切なく時に痛々しい気持ちにもさせられます。心にじんわりと響く名作です。 9.『夏の庭─The Friends』 きらめく夏の思い出が胸を打つ有名作品 湯本香樹実《ゆもとかずみ》著 1992年に刊行されて以来、根強い人気を誇る湯本香樹実さん作の小説です。 あらすじ 小学6年生の「僕」は、とあるきっかけで「死」について考えるようになる。友達の河辺の提案で、一人暮らしのおじいさんが死ぬところを見届けようということになった「僕」は、もう一人の友達・山下を誘った。おじいさんの暮らしを見張るうちに、少しずつおじいさんと仲良くなる3人。おじいさんの過去や別れた奥さんの話を聞いて、何とかおじいさんを喜ばせたいと思った3人はあることを思いついて─。 オススメのポイント! 本書は児童文学として知られていますが、内容は大人でも十分に楽しめる作品です。ひと夏を共に過ごすことになるおじいさんと子供たちの様子がみずみずしく描かれ、じんわりと心に染み入る物語となっています。「僕」を通して描かれる出会いと別れに、切なくも明るい気持ちになれる作品です 10.『アルジャーノンに花束を』 60年以上経っても色褪せない不朽の名作 ダニエル・キイス著 1959年に中編小説として発表された後、1966年に長編小説として改作されました。 あらすじ 知的障害を持つ青年・チャーリィの知能は6歳児並みだった。ある日、チャーリィは大学教授のアリスから知能を高める脳手術を受けるようすすめられる。手術は成功し、チャーリィの知能は日に日に高まっていくのだった。天才となったチャーリィは、それまで気づかずにいた現実の残酷さを知る。やがて、手術の実験台となったハツカネズミの「アルジャーノン」に異変が起こりチャーリィにも不安の影が近づいて─。 オススメのポイント! 本作はSF作品でありながら人間ドラマでもあります。主人公の一人称で語られているため、まるでチャーリィ自身になったかのような臨場感を味わえる作品です。時間の経過と共に変化するチャーリィの心模様が胸に迫り、結末へ向けて大きな感動が待っています。最後の一文で、きっとみなさんも泣いてしまうはず。ハンカチを用意してお読み下さい。