4.今月のオススメ図書 「心淋《うらさび》し川《がわ》」第164回直木賞を受賞した西條奈加氏を紹介します。 西條奈加 略歴 1964年、北海道中川郡池田町に生まれる。音更《おとふけ》町立下音更小学校・中学校、北海道帯広三条高等学校を経て、東京英語専門学校を卒業。貿易会社勤務を経る。2005年、『金春屋ゴメス』が第17回日本ファンタジーノベル大賞大賞を受賞しデビューする。2012年、『涅槃《ねはん》の雪』で第18回中山《なかやま》義秀(ぎしゅう)文学賞を受賞。2015年、『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞。2021年、『心淋し川』で第164回直木三十五賞を受賞。主に時代小説を得意とする。初期はファンタジー要素のある時代小説であったが後に一般の時代小説に移行する デイジー版15作品を紹介します。番号でもお申込みいただけます。点字版をご希望の方はお問合せ下さい。 金春屋《こんばるや》シリーズ @金春屋ゴメス 内容 近未来の日本に、鎖国状態の「江戸国」が出現。競争率三百倍の難関を潜り抜け、入国を許可された大学二年生の辰次郎。身請け先は、身の丈六尺六寸、目方四十六貫、極悪非道、無慈悲で鳴らした「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守《まごめはりまのかみ》だった! ゴメスに致死率100%の流行病「鬼赤痢」の正体を突き止めることを命じられた辰次郎は─。「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作。 A芥子の花 金春屋ゴメス 内容 ときは近未来、ところは日本領土内、鎖国状態の「江戸国」。上質の阿片が海外に出回り、江戸国は麻薬製造の嫌疑をかけられる。極悪非道で知られる長崎奉行ゴメスは、異人たちが住む麻衣椰《マイヤ》村に目をつける。辰次郎が想いを寄せる女剣士朱緒《あけお》の過去が絡み合い、事態は思わぬ展開を見せるが─。「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作の続編 善人長屋シリーズ B善人長屋 内容 世を忍ぶ悪党の巣「善人長屋」に、うぶなお人好しの加助が迷い込んだ。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動。裏の手管と人情が、堅気を泣かす悪を討つ! C閻魔の世直し 善人長屋 内容 正義を騙った殺しを許すな! 裏の手管で悪を討つ「善人長屋」ふたたび。表は堅気のお人好し、裏は差配《さはい》も店子《たなこ》も悪党が揃う「善人長屋」。天誅を気取り、裏街道の頭衆《かしらしゅう》を血祭りに上げる「閻魔組《えんまぐみ》」の暗躍は、他人事として見過ごせない。長屋を探る同心の目を潜り、裏稼業の技を尽くした探索は、奴らの正体を暴けるか。待望のシリーズ第二弾。 D大川契《ちぎ》り 善人長屋 内容 お人好しの加助が拾ってきた行き倒れは盗賊の一味だった。善意は悪意に姿を変えて善人長屋を襲う。 神楽坂日記シリーズ E無花果《いちじく》の実のなるころに お蔦さんの神楽坂日記 内容 お蔦さんは僕のおばあちゃん。もと芸者でいまでも粋なお蔦さんは、面倒くさがりなのに何かと人に頼られる人気者で…。神楽坂界隈で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決する! 人情と情緒あふれる全6編を収録した連作ミステリ。 Fいつもが消えた日 お蔦さんの神楽坂日記 内容 望《のぞみ》の後輩・有斗をただひとり残して突然失踪した家族は、一体どこへ? もと芸者のおばあちゃん・お蔦さんの活躍が光る、あたたかな情緒あふれる長編ミステリ。シリーズ第2弾。 Gみやこさわぎ お蔦さんの神楽坂日記 内容 高校生になった滝本望は祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。芸者時代の名前でお蔦さんと呼ばれる祖母は、気が強く面倒くさがりだけれど、ご近所衆から頼られる人気者だ。ふたり暮らしの日々は変わらず騒がしい。神楽坂の若手芸妓・都《みやこ》姐さんが寿退職することに。おめでたいはずなのに、「これ以上迷惑はかけられない」と都姐さんの表情は冴えなくて…。(「みやこさわぎ」)表題作をはじめ、粋と人情と望が作る美味しい料理がたっぷり味わえるシリーズ第三弾。 南星屋シリーズ Hまるまるの毬 南星屋繁盛記 内容 親子三代で営む菓子舗「南星屋」。繁盛の理由は、ここでしか買えない日本全国、銘菓の数々。でもこの一家、実はある秘密を抱えていて…。思わず頬がおちる、読み味絶品の時代小説。 I亥子ころころ 内容 武家出身の職人・治兵衛が娘・孫娘と営む「南星屋」は、全国各地の銘菓を作り大繁盛。だが、治兵衛が手を痛め、粉をこねるのもままならぬ事態に。そんな中、店の前で雲平《うんぺい》という男が行き倒れて…。 その他 J涅槃《ねはん》の雪 内容 天保の改革の嵐が吹き荒れるなか、幕府の苛烈な締め付けに立ち向かう気骨ある与力の姿を通じて、市井の人々の意地と気概をいきいきと描く。第28回中山義秀《ぎしゅう》文学賞受賞。 K心淋《うらさび》し川《がわ》 内容 江戸の片隅、小さなどぶ川沿いに並ぶ長屋の住民達は、人生という川のどん詰まりでもがいていた─。生きる喜びと哀しみを描いた、全6編の連作時代小説。第164回(2020年下半期)直木賞受賞。 Lせき超えぬ 内容 思わぬ成り行きから箱根の関の番士に任命された小田原藩士・武藤一之介。関所にはいろいろな事情を抱える人々がやってくる。やがて大切な友から関所を破る方法を教えてくれと頼まれる。命を懸けて一人の男にこの国の未来を託そうとする友のために、彼は雪の箱根を越える。