3.今月のオススメ図書 西木正明 西木 正明(にしき まさあき、1940年5月25日 -)は、日本の小説家。 秋田県仙北郡西木村(現・仙北市)育ち。本名は鈴木正昭。1959年秋田県立秋田高等学校卒業。早稲田大学教育学部社会科中退。平凡出版(現マガジンハウス)に入社し『平凡パンチ』『週刊平凡』『ポパイ』等の編集に携わる。1980年に独立して作家活動開始。デビュー作『オホーツク諜報船《ちょうほうせん》』で日本ノンフィクション賞新人賞、1988年に「凍れる瞳《しばれるひとみ》」「端島の女《はしまのおんな》」で第99回直木賞を受賞。以降、綿密な取材に基づくドキュメンタリーライクな作品を数多く発表する。妻は女優の桑原幸子《ゆきこ》。 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より @オホーツク諜報船《ちょうほうせん》(1980年日本ノンフィクション賞新人賞) 点字版・デイジー版 あらすじ・内容 〈レポ船〉の真実を明らかにした衝撃のノンフィクション レポ船―それはソ連国境警備隊に日本の情報を流し、見返りに豊富な漁獲を黙認してもらう漁船のことである。つまり極端にいえば、スパイ行為によって金を得る売国奴なのだ。日本の公安の執拗な探索を巧みにかわし、レポ活動に走る船は絶えない。なぜ危険を冒し、彼らはオホーツクの海へ乗り出して行くのか?それには、止むを得ない事情がある。専管水域があるため、彼らは常に不漁に悩み、無理をすればソ連の警備艇に拿捕《だほ》されて何年も抑留《よくりゅう》されることになる。切羽つまった彼らには、売国行為に逡巡《しゅんじゅん》している余裕などないのだ。現実に、レポ活動で莫大な富を築き、“帝王”の異名で呼ばれているものさえいる。うまくやれば儲る。彼らは、第2、第3の帝王を目ざして、危険を顧みずレポに走る。これはその中の1隻、第十二北斗丸の波乱に満ちた活動の顛末を描いた物語である。綿密な取材でレポ船の実態に迫る、衝撃のノンフィクション・ノベル! Aガモウ戦記 点字版・デイジー版 あらすじ・内容 戦争で家も家族も失った、紙芝居屋の蒲生《がもう》太郎。かつての戦友の誘いに応じて秋田にやってきたら、そこは人生観がくるりと変わる別世界だった! 温厚な金木《かなき》医師、マタギ免許皆伝のイワオ、色っぽい敏子、そして悪戯ばかりの悪ガキども。秋田で暮らす決意をした太郎は、戸惑いながらも田舎の暮らしに溶け込んでいく。終戦直後の秋田の山奥にあったパラダイス的な生活を、いきいきとユーモアたっぷりに描く。読めば心が豊かになる、ふるさと賛歌! B凍《しば》れる瞳(1988年第99回直木賞) 点字版・デイジー版 あらすじ・内容 捕虜虐待の罪でBC級裁判で処刑された男と甲子園をめざして投げ合った不世出の元巨人軍投手スタルヒンの宿命の人生のかかわりあいを描いた表題作、廃鉱となった九州の端島《はしま》とダム建設で東北の過疎となった山里を舞台に一人の女の転変の人生を描いた「端島《はしま》の女」の直木賞受賞作を含む情感ただよう会心の作品集。 C梟《ふくろう》の朝 点字版・デイジー版 あらすじ・内容 第二次ロンドン会議で山本五十六《いそろく》の副官を務めた海軍の俊英《しゅんえい》・光延東洋《みつのぶとうよう》は、なぜ赴任先のイタリアで暗殺されたのか?山本の密命のもと、秘密諜報網“TO《ティオー》”を欧州に構築せんとした男たちの知られざる闘いが、いま明らかとなる。綿密な取材で戦史の裏面に光を当てた、ノンフィクション・ノベルの傑作。 D夢幻《むげん》の山《やま》旅《たび》(1944年第14回新田次郎文学賞) 点字版・デイジー版 あらすじ・内容 山登りを愛し、絵筆を執り、文章をものし、音楽を楽しんだ“稀有の自由人”辻まこと。ダダイスト・辻潤《つじじゅん》と女性解放運動家・伊藤野枝との間に生まれ、波乱に満ちた人生を送った辻の足跡を追う魂の紀行。著者渾身の力作で、第14回新田次郎賞受賞作。 E夢顔さんによろしく(2000年柴田錬三郎賞) 点字版・デイジー版 あらすじ・内容 シベリアから届いた暗号「夢顔」の謎。父は元首相の近衛文麿《このえふみまろ》、甥は細川護煕《ほそかわもりひろ》。日本を代表する名家の嫡男はなぜ極寒の監獄で非業の最期を迎えねばならなかったのか―万感の思いを込めて贈るノンフィクション・ノベルの金字塔。 Fわが心、南溟《なんめい》に消ゆ 点字版・デイジー版 あらすじ・内容 昭和三十年代前半、インドネシアへの戦後賠償の利権を巡り、裏でさまざまな人たちが闇で蠢《うごめ》いていた。そんな時代に日本の橋渡し役のかたちで、スカルノ大統領に嫁いだもう一人の日本女性がいた。その後嫁いだデヴィ夫人が脚光浴びる陰で、彼女は人々の記憶にも残らず、異国の地で自らの命を絶った。ごく普通の家庭の女性の、時代に翻弄され波乱にとんだ生き方を通じて昭和戦後史の裏面を抉る