3.今月のオススメ図書 今月は、「2020年本屋大賞」をご紹介します。 @大賞 「流浪の月」 凪良《なぎら》ゆう 内容 あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい─。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。 A第2位 「ライオンのおやつ」 小川糸 内容 余命を告げられた雫は、残りの日々を瀬戸内の島のホスピスで過ごすことに決めた。そこでは毎週日曜日、入居者がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があった─。毎日をもっと大切にしたくなる物語。 B第3位 「線は、僕を描《えが》く」 砥上裕將《とがみひろまさ》 内容 両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介《あおやまそうすけ》は、アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山《しのだこざん》と出会う。なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介《そうすけ》。それに反発した湖山の孫・千瑛《ちあき》は、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。 水墨画とは、筆先から生みだされる「線」の芸術。 描くのは「命」。 はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、線を描くことで次第に恢復していく。 C第4位 「ノースライト」 横山秀夫 内容 一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに…。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた「タウトの椅子」を除けば…。このY邸でいったい何が起きたのか D第5位 「熱源」 川越宗一 内容 故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。 E第6位 「medium《メディウム》霊媒探偵城塚翡翠《れいばいたんていじょうずかひすい》」  相沢沙呼《あいざわさこ》 内容 推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた─。 F第7位 「夏物語」 川上未央子 内容 大阪の下町に生まれ育ち、東京で小説家として生きる38歳の夏子には「自分の子どもに会いたい」という願いが芽生えつつあった。パートナーなしの出産の方法を探るうち、精子提供で生まれ、本当の父を捜す逢沢潤と出会い、心を寄せていく。いっぽう彼の恋人である善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だと言い、子どもを願うことの残酷さを夏子に対して問いかける。この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか─。 G第8位 「ムゲンのi《アイ》 上」 「ムゲンのi《アイ》 下」 知念実希人《ちねんみきと》 内容 展開も結末も予測不可能 文句なしのミステリー超大作!! 若き女医は不思議な出会いに導かれ、人智を超える事件に挑む。 眠りから醒めない四人の患者、猟奇的連続殺人、少年Xの正体─ すべては繋がり、世界は一変する。 眠りから醒めない謎の病気〈特発性嗜眠症候群《とっぱつせいしみんしょうこうぐん》〉通称イレスの患者を抱え、識名愛衣《しきなあい》は戸惑っていた。霊能力者ユタである祖母から受け継いだ力を使って、魂の救済〈マブイグミ〉をするしか目醒めさせる方法はない。愛衣は患者の夢幻の世界に飛び込み、魂の分身〈うさぎ猫のククル〉と一緒にマブイグミに挑むことに─。 『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』 2年連続本屋大賞ノミネートの著者最新作 下巻もあります。 H第9位 「店長がバカすぎて」  早見和真《はやみかずまさ》 内容 谷原京子(契約社員、時給998円)「マジ、辞めてやる!」でも、でも…本を愛する私たちの物語。 I第10位 「むかしむかしあるところに、死体がありました。」  青柳碧人《あおやぎあいと》 内容 昔ばなし、な・の・に、新しい!鬼退治。桃太郎って…え、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が…ヤバすぎる!ここ掘れワンワン。埋まっているのは…ええ!?「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ!「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙《とうじょ》がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の全5編収録。