4.みんなの広場 ○秋田市の浅井成雄《あさいしげお》さんより投稿いただきました。 「堪らネーこの小説・続」 秋田酒衣77   浅井成雄《あさいしげお》 じつを言うと私は、一盃やりながら落語を聞くか落語を聞きながら一盃やるのが好きなのである。正月はそれが同時に叶う。加えて今年はデイジー山本一力作「落語小説集」を借りて楽しさ三倍。堪らない小説だった。 文芸作品を落語にしたのは多いが、落語の小説化は初めてきく。演題を記しておく。芝浜・井戸の茶わん・百年目・抜け雀・中村仲蔵の五席。ファンにはなじみばかりだ。 ご存じの通り落語はハッツァン熊サン等の会話で時間に沿って話が進む。芝居なら作りやすいだろう。それをどう小説に仕上げるのか興味があった。小説の書き方である。地咄《ぢばなし》といって語りだけの芸もあるがここには含まない。 下げ(最後におもしろくオトすところ)には手をかけない。その上で四つ気付いた。 先ず、話の後先を変えることだ。結果に触れてからそこまでの経緯を述べる。会話なら「夕べこんなことがあってョ」と切替えるところだろう。 次は、創作を加えて話に厚みを増している。例えば有名な「芝浜」の夫婦が共に災害孤児であるとし二人の馴れ初めも描いている。これは、その後の展開に伏線となっている。咄家《はなしか》も高座で手を加えることがあるが、妻の名前おしずはオリジナルだ。 三点目は、この作者ならではである。それは厳密な時代考証のことだ。 デジタルカレンダーより正確な旧暦で季節を肌で感じとれる。その設定の下に江戸の町の暮らしが広がっている。 道路事情と掘割。お店とお嬢さん。長屋の一軒を宿というのを知った。それで亭主を宿六と呼ぶのかな。納得・六って何だ? ほら目の前をカゴ屋が通った。作家山本一力は江戸から通ってくる。彼の筆は否応なし臨場感に満ちる。 お終いは、文章の巧みである。言葉が織りなす情景は話の魅力を一層高めている。酒と落語は切っても切れない。「百年目」では花見酒盛りの場面にこんな表現がある。曰く、灘酒が立ち上らせる香りが風に舞う花びらを包んでいた。 堪らんぞ、この小説。落語好きには、そして、そうでない人にも。ついでに、酒好きには、そして、そうでない人にも。(おわり) ○利用者のみなさんより、俳句の投稿いただきました。 ・おでん屋の 味に肖《あやか》る 一人鍋  熊谷幸二郎《くまがいこうじろう》 さん ・冬晴や 朝の目覚めに 背伸びする  宇佐美咲子《うさみさきこ》 さん ○三種町の武田金三郎《たけだきんざぶろう》さんより投稿いただきました。 秋田県一短い小説・その十九 今はまだ……… 三月十三日、中学校卒業式のこの日、娘のエミリは卒業する。しかしエミリはいない。娘のいない卒業式に招かれてはいたが、かなえは到底出席する気持ちにはなれなかった。不治の病にとりつかれて亡くなってからまだ半年そこそこしか過ぎていない。エミリの卒業証書は小学校からの親友である薗香《そのか》ちゃんが代理で受け取って持ってきてくれることになっているが、薗香《そのか》ちゃんと会うのさえ辛い。 夕刻近く、薗香《そのか》ちゃん母子が玄関に立ったとき、かなえは微笑をもって迎えなければ、と思っていたのに頬が強張ってしまい、用意していた言葉さえ出ないのだ。 「エミリ、高校もずっと一緒だって約束してたのに………。つらいよ。でもエミリの分まで頑張るからね」 エミリの遺影の前、薗香《そのか》ちゃんはようやくこれだけを言って泣き伏してしまった。 「晴れの卒業式だというのに悲しい思いをさせてごめんね薗香《そのか》ちゃん」 かなえがこう言って二人を送り出すと、彼女はヘナヘナとその場に座り込んでしまった。彼女は日に何度折に触れ、あるいは折に触れなくても涙を流してきたことか。三月になって春の陽光が少しずつ作用してきているらしい。それまで夫や次女で中学一年生の有璃子《ゆりこ》に頼んでばかりいた買い物にようやく出かけられるまでになってきていた。 がエミリの卒業式の日、薗香《そのか》ちゃん母子が訪ねて来て以来、またも彼女は買い物に出られなくなってしまい、ようやく気を取り戻したのは四月に入ってからのことである。けれどまだ気持ちが集中できない、というか疲れるのだ。駐車場の車の出し入れも疲れるし、家までたどり着くまでの運転もひどく疲れる。 ようやく家の前に車を止めたとき、背後で短くクラクションが鳴らされた。 車から出て振り向くと、薗香《そのか》ちゃん母子が笑みを浮かべて立っていた。薗香《そのか》ちゃんが高校の真新しい制服を着ている。明るくて濃い空色のブレザーが眩しい。 眩しすぎる。車を挟んで立っている母親の和服も眩しい。 「エミリに入学式の報告をしようと思って。エミリの写真、胸ポケットに入れてました。エミリと一緒に入学するって二人で約束してたから」 その日が高校の入学式であること、かなえは知っていなかった。知るも何も、彼女は今だって新聞もテレビも見る気持ちになれないでいるのだ。 『晴れがましい姿、エミリに見せないでちょうだい。私もあの子の前で見たくない』 こんな気持ち、二人はどうして分ってくれないのだろう。気持ちがグングンと冷え込んでいく。のみならずすさんでさえいくのであった。 「帰ってちょうだい。お願いだから。今はまだ………。今は………」 激情が制御できなくなり、かなえの口がもつれて声が出た。今はまだ………辛くて切なくって悔しくって………。全てが憎い。 ○竹田 チヤ子さんより詩の投稿をいただきました。 以下、原文のままです。 (し)しあわせをかんじるとき ふゆのさむいひ。 おっくうだなーとおもいながらふろにはいり つめたいからだがだんだんあったまっていくのが わかるとき。 そしてあがってから つめたいみずをごくごく。 あーおいしいなー しあわせーとおもう。 ベッドにあおむけになり ひざやこしをのばして すきなおんがくをかけて ききながら あーきょうもおわったなー。 さー ねようとおもったとき しあわせーとおもう。 はるのあるあさ。めをさまし ことりたちのさえずりをきいて わたしもおきる。 そしてまどをあけて しんこきゅうし あーきもちいいなーとファイトもでる。 ちょうしょくは しろいごはんとみそしる。 あーおいしい しあわせーとおもう。 にわにでて おひさまにぽかぽかあたりながら チューリップやすいせんにさわりながら 「おーさいているんだねー」とこえをかける。 ひとりであるくのは にがて。 きをつかい しんけいをつかってすぐつかれる。 でもガイドさんとのさんぽはたのしい。 せけんばなしをしながら まわりのようすをききながら さっささっさとあるける。 さんぽしたあと まんぽけいをみて わーいっぱいあるいたなーとまんぞくする。 わたしのしあわせは まいにちのせいかつにあるみたい。 これからも たくさんのちいさなしあわせをみつけようとおもう。(あなたにかんしゃしながら・・・)  ○レシピコーナー 最後に、ご利用者様からのご希望によりこのコーナーにて料理レシピをお届けします。 まだまだ寒い日が続きます。今月は、旬の食材を使ったあったか簡単レシピをご紹介します。 鶏肉と青梗菜の味噌ミルク煮 フライパン1つで作る簡単おかず♪お味噌の優しいミルク煮です。 材料:(2人分) 鶏もも肉  1枚 下味付用 塩コショウ  少々 下味付用 小麦粉  適量 青梗菜  1株 エリンギ  1本 玉ねぎ  中1/2個 酒  大さじ2 牛乳  1/2カップ 味噌  小さじ2 醤油  小さじ1/2 にんにく(みじん切り)  1かけ オリーブオイル  適量 【作り方】 @鶏もも肉は、一口大に切る。塩コショウを振って小麦粉を全体にしっかりとまぶす。 A青梗菜は、根元を切り落としてバラし、長さを半分に切って、幅が広い場合は縦2つに切る。 Bエリンギは、縦半分に切り、さらに縦に4等分に切る。玉ねぎは薄切りにする。 Cフライパンにオリーブオイルをひき、鶏肉を両面焼く。焼き色がついたら一旦取り出す。(中まで火は通っていません) Dフライパンにオリーブオイルを足し、にんにくを炒める。香りが出たら玉ねぎを炒め、エリンギと青梗菜の硬い部分を加える。 Eざっと混ぜて鶏肉を戻し入れ、酒を加えて蓋をする。弱めの中火で3〜4分ほど蒸し焼きにして鶏肉の中まで火を通す。 F牛乳と味噌と醤油、残りの青梗菜を加えたら中火で煮る。時々混ぜてゆるめにとろみがついたら出来上がり。 【コツ、ポイント】 合わせ味噌を使用。白味噌でも。仕上げにお好みで粉チーズを振ってもいいです。 以上、「cook pad」掲載記事から抜粋しました。 他に何か、ご希望・ご意見がありましたら、お知らせください。 お待ちしております。