ひかり―第22号― 社会福祉法人秋田県社会福祉事業団 秋田県点字図書館 発行日 平成30年1月4日 〒011-0943 秋田市土崎港南3丁目2番58号 電話 018(845)0031・貸出 018(853)4035 FAX 018(845)7772 HP http://www.fukinoto.or.jp/tenji/ E-mail tenji@fukinoto.or.jp ○新年のご挨拶 秋田県点字図書館 館長 佐々木 薫  あけましておめでとうございます。皆様、新しい年をどのようにお迎えでしょうか。  年頭にあたり、秋田県点字図書館を代表しまして一言ごあいさつを申し上げます。  昨年は全国的に豪雨の多い年でした。普段は災害の少ない秋田県においても稀有な豪雨災害が発生しました。当館の登録利用者の中にも、ご自宅等に大小の被害があった方がいたと伺っております。全国各地ではなかなか復旧が進んでいない地域もあるようです。あらためてお見舞い申し上げ、一刻も早い復旧を祈っております。  さて、昨年末の某流行語大賞に〈忖度(そんたく)〉が選ばれました。数ヶ月に渡って関連する映像や話題がマスコミに取り上げられ、耳にしない日は無いくらいでしたので、さもありなん、といったところでしょうか。ただ取り上げられ方のせいか、言葉そのものがマイナスのイメージになっているような気がするのが残念です。誤ったイメージや誤解を招く可能性は何も言葉に限ったことではありません。日常生活では人間の行動そのものの一つひとつが、そういったものをはらんでいると思います。  私たちは点字図書館で「人が読むために人が作った図書」を扱っています。近年、相当な部分がデジタル化されていますが、最終的には人あってこその仕事です。図書の製作や貸出などだけではなく、数字には表れない業務も多々あります。対人業務では相手に誤ったイメージや誤解を招く可能性は排除しなければなりません。〈排除〉、そういえばこれもずい分とクローズアップされた言葉でした。  昨年、秋田県内では〈秋田県版スマートサイト〉が完成し、県内関係機関への配布が始まっています。関係機関の相互理解が進み連携が深まることが期待されます。前後しますが四月からはいわゆる「秋田県手話言語条例」が施行されました。手話の文言が前面に出ていますが、条文には「全ての障害者が手話や点字などの伝達手段を用いる機会が確保され、分け隔てなく情報を得ることができ、十分な意思疎通ができる環境を整えることが求められている(一文を抜粋)」とされています。視覚障害者にとっての点訳や音訳に関する部分が明記され、行政、県民、事業者にも責務や役割が求められているのです。そういった場面でこそ、人に対して〈忖度(そんたく)〉することが重要なのではないでしょうか。  秋田県点字図書館は「障害者を取り巻く人々への周知=視覚障害者の周囲の人をも情報の伝達媒体として巻き込んでいく」に努めてきましたが、頻度、方法論共にまだまだ道半ばです。皆様からのご指導、ご助力を賜りながらより一層励んでいきたいと考えております。  最後となりますが、皆様にとりましてこの新しい年が、より佳き年になるよう心より祈念いたしまして、私からのあいさつとさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 ○利用者さんの声 「点字と共に生きる」 利用者 向川(むこうがわ) 進(すすむ)(盲ろう)  私は失明して40歳で点字を覚えた。  触読は難しく、ストレスで体調を崩し、何度も諦めようと思ったが、聴力も低下し、生きるためには挫折は許されなかった。  やがて失聴し、コミュニケーションが困難になった。  とても苦しく悲しい日々だった。ふとしたことから指点字を知った。  全神経を指先に集中させての触読は苦労の連続で、とても辛かった。  今は点字ディスプレイでパソコンメールやインターネット、サピエを楽しめるようになった。点字図書もお世話になっている。  点字図書館、関係者の皆さん、いつもありがとうございます。  盲ろう者の私にとって点字は「命綱」。点字のおかげで今の自分があり、これからも点字とともに前向きに生きていきたい。 ○ボランティアさんの声 「新表記法について」 点訳ボランティア連絡協議会会長 塚本 佳子  現在の点字表記法が発行されてから20年近く経ち、新たな改訂作業が始まっているそうです。大幅な変更はないとのことですが、いくつか新しいルールがあるでしょうし、しばらくは混乱があるかもしれません。しかし利用者のことを考えて読みやすい点訳をするという姿勢は変わらないと思います。その後のてびきの改定には利用者だけでなく点訳者の意見も反映されるはずですのでよりよい点訳を考えるきっかけになれば良いと思います。 「より良い音訳図書を目指して」 音訳ボランティア連絡協議会会長グループ サークル2000  点字図書館のボランティアの多くは読書好きで、目の不自由な方たちに図書を届けたいという気持ちが活動の原動力だ。音訳ボランティアはパソコン操作、秋田アクセント、口中音(こうちゅうおん)等、自分と戦いながら製作に励んでいる。  「より良い図書を」という大前提は変わってないが、製作の留意点は館の方針に伴い、変遷があった。これからも利用者ファーストを心に、校正・編集の方たちと共に歩んで行きたい。 「私たちの活動」 ドットテキスト代表 古屋 栄子  私達の活動は、本をスキャナーに通してパソコンに取り込みテキスト化します。これを本文に照らしマニュアルにそって確認していきます。これが大切な作業なのです。また、図・絵・写真も画像として取り込み、校正に出し、それを訂正して編集に回します。とても時間がかかります。勉強会では、いかに早く正確に仕上げるか、白熱の議論になります。テキストデイジー図書の利用者が急増しているとのこと、それを励みに皆で頑張っていきます。 「光陰矢の如し」 麻の会代表 飯塚 真理子  作業ボランティアを始めて25年以上になりました。当初お姉さんだった私も今ではすっかり更年期おばさんになってしまい、1年はあっという間と感じるようになりました。歳をとるごとに1年が早く感じるのは、5歳の子供にとって1年は1/5なのでとても長く、80歳の方にとって1年は1/80なのであっという間に感じるという事なのだそうです。これを聞いて、それでか・・・などととても納得しました。でも、1年は365日、時間にすると8760時間もあります。これからは大切な時間を大事に使うように気をつけたいと思います。 ○他団体表彰の受賞者紹介 ✿第65回全国盲人福祉施設大会 ボランティア表彰 点訳 石山 美幸 音訳 村井 貞子 ✿鉄道弘済会朗読録音奉仕者表彰 地区表彰 朗読録音奉仕者 音訳 鈴木美和子 朗読録音奉仕奨励賞 音訳 渡辺 直子 ✿厚生労働大臣表彰 点訳グループ てんてんクラブ 音訳グループ 月うさぎ ○点字図書館奉仕者表彰の紹介 理事長表彰 2名 館長表彰感謝状 10名 館長表彰奉仕活動記念賞 14名 受賞者の皆様、おめでとうございます ○2017 夏休み点字図書館探検  昨年に引き続き、8月10日~12日の3日間、『夏休み点字図書館探検』を開催しました。点字文書を解読するミッションでは、今年は寿司ネタ!みんな、解読できたかなぁ~?  う?に?・・・いくら?・・・なっとうまき!!!  テレビ撮影もありました! [点字図書館探検に参加した探検隊員の感想文]  解読の問題がとても楽しかったです。点字は、おぼえることができたら、おぼえてみたいと思いました。身の回り、家の中などの点字にも目がひかれそうです。食べ物が入っているものの点字も解読をしてみたいです。自分で手紙を書いて、だれかに読んでもらいたいです。 加藤 輝  ぼくが秋田県点字図書館に行って楽しかったことは四つ目のミッションです。理由は紙をめくったらハズレがあったのと、お母さんといっしょに点字をかい読することです。むずかしかったことは点字で名しを作る事です。理由は、ちょっとまちがえたら最しょからやりなおしになるからです。むずかしい所もあったけどできるとうれしいので、楽しかったです。また来たいです。 小玉 創大  てんじとしょかんがたのしかったです。とくにてんじ(すしネタクイズ)がたのしかったです。またいつかいきたいです。 やたべ そうすけ ○苦情の申し出… 今のところ申し出はありません。 ○編集後記 29年はメディアに多く取り上げられ、広く周知できたかと思います。 今年も皆様のお力を借りながら職員一同頑張っていきたいと思います。