○秋田市の浅井成雄《あさいしげお》さんより投稿いただきました。 「17年のデイジーから」 秋田酒衣《さけごろも》75 浅井《あさい》 成雄《しげお》 今年の読書を想い返してみる。 秋田の民話 補足 民話は日本各地、いや世界各地 に似たものが存在する。秋田にもあのグリムとそっくりな話があった。 鹿角に伝わる「米福《こめんぶく》・粟福《あわんぶく》」は継子いじめが主題。米福は継母に無理難題を命じられるが雀が助けてくれる。やがて花輪の祭で長者の息子に見初められ幸せになる。シンデレラ物語だ。実の母子はねたみでツブ(たにし)になってしまう。 ツブはツブでも由利のツブ太郎は違う。親指トムと同じ、小さな子の冒険談である。グリムと言えば童話となるが、この兄弟はドイツの古い伝承を集めた言語学者であることを申し添えておきたい。 A苦海浄土《くがいじょうど》 水俣病告発の書。それまで平凡な主婦だったと自ら書く石牟礼《いしむれ》道子は丹念な取材で、熊本の小さな漁村に発生した公害惨禍を世に知らしめた。 2月本欄拙稿「橋のない川」の作者住井すゑもそうだ。被差別部落を精力的に描く。 普通のオバンをそこまで駆り立てたもの。それは理論でも思想でもない。社会の矛盾や不合理に対する憤りが運動の源となったと思う。根拠のない正義感から社会問題に関った当時の学生は、私も含めどう総括すべきか。 B古都 川端康成作品のこの舞台を私はてっきり、彼を始め文人が多く暮らす鎌倉だとばかり思っていた。何月号だかのおらがたかしだしでそれが京都なのを知り遅まきながら読んだ。京都好きが聞いて呆れるワイ。 話は生後すぐ離ればなれになった双子姉妹の物語である。二人の数奇な運命を、京の外れ北山の地に、詩情豊かな筆が綴る。 北山時雨で名高い北山は北山杉の産地である。秋田杉と違い床柱にするため節を作らぬよう、頂部だけ残して枝は払ってある。それが見事な造形美を成している。私は二度訪れた。ちなみに、光源氏が若紫を初めて見たのも北山である。 京都といえば谷崎潤一郎「細雪」を忘れてはならない。私は谷崎の京都をあでやか、川端のそれはしとやかと評した。 C御堂関白記《みどうかんぱくき》は藤原道長の日記(現代語訳)。10月に随筆風平安日記文学を槍玉に挙げたが、これは出来事記述型だ。 道長は四人の娘を天皇に嫁がせ権勢を誇った。その日記だから歴史的価値は高いそうだ。ただデイジーはいいとこ取りした訳注本なので気楽に読める。 紫式部も登場し、貴族の生活がよく分かる。当時男性は漢文書きだが注釈によると道長はあまり漢字を知らなかったとか。その他弱音を吐き愚痴をこぼすなど、権力者の素顔が垣間見えて面白い。 以上@からCで日記を閉じて2017年を終えよう。結局東北楽天は失速したし、来年こそはだ。皆さまもどうぞ佳《よ》い年をお迎えください。 ○利用者のみなさんより、俳句の投稿いただきました。 ・故郷《ふるさと》や 垣根にからむ 鴉瓜   萩野《はぎの》 けい さん ・初雪や そぞろ歩きの 葛道《つづらみち》   熊谷《くまがい》 幸二郎《こうじろう》 さん ・年忘れ 鐘を聞きつつ 仕舞い風呂   宇佐美《うさみ》 咲子《さきこ》 さん ○三種町《みたねちょう》の武田《たけだ》金三郎《きんざぶろう》さんより投稿いただきました。 秋田県一短い小説・その十七 好きな色は赤 古都子《ことこ》は三十二歳、生まれながらの全盲だと聞いているが性格が明るくて笑顔がとてもいい。彼女が住み込みで働いている楽泉治療院《らくいずみちりょういん》を月に一、二度通院するようになったのは了太郎《りょうたろう》が六十二歳になってようやく五百歳野球から足を洗うことができたものの、今度は運動不足のせいであっちこっちの関節が強張ってきたことによる。 楽泉治療院《らくいずみちりょういん》には古都子《ことこ》の他、雅彦《まさひこ》という弱視の青年がいる。 彼は自転車で通ってきているところをみると日常生活には支障がないらしい。雅彦は性格が朗らかなのはいいけれど、ともすれば施術が大雑把になる。院長は六十五歳、この道三十年を超えるベテランである。了太郎《りょうたろう》は院長だと安心して全身を委ねることができる。そうして雅彦《まさひこ》だと心の中でやれやれと呟く。 楽泉治療院《らくいずみちりょういん》は来院者を三人の施術者が順ぐりで施術している、ので客の方から指名することができない。了太郎《りょうたろう》の内心は古都子《ことこ》に自分の番が回ってくれるのを期待している。これは六十二歳ではあっても、やはり男という性のなせるものだろう。彼の見るところ、男性客の多くが自分と同じ下心であるのは確かだ。楽泉治療院《らくいずみちりょういん》が他より繁盛しているのは古都子《ことこ》の存在があってのものだ、と彼は確信的に思っている。 「私は断然赤い色が好きだなあ。それから白で三番目が黒」 院長が七十歳ほどの女性客を、古都子《ことこ》が了太郎《りょうたろう》を施術していて四人で好きな色に話が及んでいたとき、古都子《ことこ》がそれ以外にはない、という口調で言った。 『先天盲の古都子《ことこ》にとって色彩はどんなイメージで捉えているんだろうう』 了太郎《りょうたろう》はフッと思った。すると心がズンズンと切なく締めつけられていく。これほど切なくなることなどなかったというのに。野球から足を洗ったら急速に老人っぽくなって情が脆くなってきているふしがある。 「了太郎《りょうたろう》さんどうしたの。急に黙りこくって」 「あっいや、気持ち良くって眠くなってきた」 古都子《ことこ》に不審がられ、彼は咄嗟に言った。盲人をそれ故に哀れんではいけない、とは思う。思うけれど彼の切ない気持ちは施術が終わっても癒えることがなかった。 治療が効を奏したのか、了太郎の通院はいつとはなしに間遠になり、やがて途絶えてから二年ほど過ぎたころ、古都子《ことこ》が結婚をして楽泉治療院《らくいずみちりょういん》をやめ、今は隣町で夫婦して治療院を開業していること、了太郎《りょうたろう》はフリーペーパーの広告で知った。夫はやはり全盲で古都子《ことこ》より二十歳も年上であるらしい こと、風の頼りで了太郎《りょうたろう》の耳にまで届いたのはそれから二ヵ月ほどしてからのことであった。 古都子《ことこ》は一生を独身で通さなければならないだろう、と了太郎《りょうたろう》は思っていた。夫が二十歳も年上の盲人であってもいいではないか。そう思う。なのに彼の心に、かつて好きな色について話が弾んだあのときの切ない気持ちがゆっくりとよみがえってくる。 ○レシピコーナー 最後に、ご利用者様からのご希望によりこのコーナーにて料理レシピをお届けします。 今月は、年末年始に簡単で使えるレシピをご紹介します。 ・あさり缶の炊き込みカレーごはん 炊いて混ぜて…手抜き、いや、合理的な洋風炊き込みご飯です。カレー粉(うこん)は肝臓に良いクルクミンだし、年末年始にいい! 【材料:(米 2合分 目安)】 あさり缶詰 汁ごと1缶 固形60g  125g 米  2合 コンソメ粉末  小さじ2 ブロッコリー  小房6〜8 バター(有塩)  大さじ2 カレー粉  小さじ2 【作り方】 @米は洗っておく。炊飯器にあさり缶の汁、米を入れ、水加減する。コンソメも振り入れる A炊飯する。その間にブロッコリーはしっかり洗って小房にし、下茹でかレンジ加熱しておく。 B炊き上がりにブロッコリー、カレー粉、バターを混ぜ込み、味見する。味が足らないなら熱いうちにコンソメを追加し混ぜる。 ☆コツ、ポイント 簡単ですが、青みの野菜なら別加熱して後から入れるほうがキレイと思います。あさりは鉄分などのミネラルも、水溶性ビタミンB12も含むので汁ごと利用します。 ・年末年始の疲れたお腹に?お豆腐丼 年末年始食べ過ぎたお腹にも、お財布にも(笑)優しい丼です。ランチにもぴったり。 【材料:(4人分)】 豆腐  1丁 カニカマ  4本 ご飯  4膳分 水300cc ほんだし  小さじ2 白だし  大さじ2 みりん  大さじ2 砂糖  小さじ1 水溶き片栗粉  適量 卵  2個 ネギ  適量 【作り方】 @豆腐はさいの目に切る。鍋に水を入れて沸騰したらほんだしを入れる。 A白だし、みりん、砂糖で味を付ける。 B豆腐、カニカマを入れて、軽く沸騰したら混ぜながら、水溶き片栗粉でとろみをつける。 C軽く混ぜたら溶き卵を回し入れ、すぐに火をとめる。丼に盛ったご飯にかける。 D小口切りにしたネギを散らして出来上がり〜 ☆コツ、ポイント 卵は入れてからあまり火を通さず、フワッと仕上げます。 ・年末年始も普段の常備菜にも♪簡単!松前漬 北海道の郷土料理。するめと昆布を使って自宅で簡単、日常のおかずレシピに!数の子を足せば年末年始にもぴったりのおかずに♪ 【材料】 するめイカ  1枚 酒  適量 にんじん  小1本 塩  適量 切り昆布  50g 合わせ調味料 しょうゆ  1カップ だし汁  1カップ 砂糖  50g みりん  1/4カップ 【作り方】 @するめイカを酒につけて一昼夜置いて戻し、マッチ棒くらいの大きさに切る。 Aにんじんもマッチ棒くらいの大きさに切り、塩をまぶしてしばらく置いてから水にさらし、水気をよく切る。 B小鍋に合わせ調味料を沸かして冷ましたものを保存容器に移して@とA、切り昆布を入れ、2〜3日漬ける。 ☆コツ、ポイント 冷蔵庫で2〜3週間保存可能です。このレシピに数の子を足すと、年末年始にぴったりのおかずになります♪ 以上、「cook pad」掲載記事から抜粋しました。他に何か、ご希望・ご意見がありましたら、お知らせください。お待ちしております。