4.みんなの広場 〇秋田市の浅井成雄《あさいしげお》さんより投稿いただきました。 「音訳ならではの読後感」 秋田酒衣《あきたさけごろも》74   浅井成雄《あさいしげお》 読み終えてどこか懐かしさを覚えるデイジーがある。松谷みよ子他編「秋田の民話」がそれだった。幼い時分から親しんだ民話や伝説といった昔話は日本人の体質になっていると思う。この本は現地で集めたこのような話を整理して53収めている。 内容は多岐にわたる。笑い話、動物の恩返し、妖怪等々。専門家はいくつかの類型に分けるのだろうが、私は思いつくままを以下に並べてみる。 その1 民話といえども目出度し目出度しばかりではない。盗っ人もいれば嫁いびりもある。社会のカタログだ。悲しい話も多い。 田沢湖の辰子姫は有名だ。龍になってしまったが乙女の一途さがムネを打つ。願いが叶い永遠の若さを得て、八郎潟の八郎とも結ばれよかったと考えるのは無神経だろうか。 その2 神々の世界を描いたのもある。男鹿を支える赤神《あかがみ》と津軽の黒神《くろがみ》が十和田に住む女神を奪い合う。 争いに敗れた黒神《くろがみ》が岩木山でため息をつくとその勢いで津軽とえぞは離れてしまった。古事記の国生みを思い出すスケールの大きさではないか。 その3 私は仏教説話に関心がある。とくに信仰心をもっているわけではないが、宇治拾遺物語の類いに登場するお地蔵さんは心が安まる。 働き者のおじいさんは仕事の往き帰りお地蔵さんに語りかけた。ある日一人で田んぼをやっていると童《わらし》がニコニコ現われ、何も言わず手伝って消えた。お地蔵さんは足が血だらけで立っていた。それからは生保内地方の田に蛭を見なくなった。 お経は聴くだけでご利益があるという。同様に地蔵さらに観音の不思議も読むだけで有難いのではなかろうかと信じている。 その4 私が秋田に来て耳にした「こっから舞」の意味を会社の人は、ニヤニヤするばかりで教えてくれなかった。それが民話を読んで分かった。 その1で民話は社会のカタログと書いた。仏縁から世俗まで人間を、そして秋田を知るための大事な財産である。 おしまいにもう一つ触れなければならない。それは、原本の魅力を引出している音訳のことである。 郷愁を誘うその語りは母の胸で聞いた子守唄で、本書には相応しい。発話も文末で声が弱まることなく心地よい。 我々には音訳あっての作品だ。そこで音訳ならではの読後感を書いた。 (おわり) 〇利用者のみなさんより、俳句の投稿いただきました。 ・川岸の 古き町並み 露の夜  萩野《はぎの》 けい さん ・本丸も 二の丸も暮れ 秋暮《あきくる》る  熊谷《くまがい》 幸二郎《こうじろう》 さん ・大泣きの 赤子《あかご》なだめる 神無月《かんなづき》  宇佐美《うさみ》 咲子《さきこ》 さん ・もってのほか そっと忍ばせ 吾子《あこ》の許《もと》  柿崎《かきざき》 妙子《たえこ》 さん 〇三種町《みたねちょう》の武田金三郎《たけだきんざぶろう》さんより投稿いただきました。 秋田県一短い小説・その十六 柿泥棒 十月も下旬ともなれば気の早い落ち葉共がサラサラと乾いた音をさせてアスファルトの道を流れていくようになる。林太郎《りんたろう》はこの音が好きだ。が妻の夕子《ゆうこ》は違う。 「落ち葉ほどの疫病神ってないね。掃いた尻がらすぐこれだもの」 夕子《ゆうこ》がそう言いながら立っている林太郎《りんたろう》の周囲を竹箒《たけぼうき》で掃いていく。山里《やまさと》の集落、老夫婦二人きりを訪ねてくれる客などめったにいないというのに。ほっておけばいい。なのに妻の夕子《ゆうこ》は日に二度三度と掃いている。 「お向かいさんの柿、今年もじっぱり実をつけで枝が折れそう。手を伸ばひば私だって十個も二十個も取れるども、いざとなればやっぱりね」 夕子《ゆうこ》がブツブツ言いながら家に入っていく。路地を挟んだ向かいの家が空き家になって七年になる。林太郎《りんたろう》より四歳上の夫が亡くなると、千葉に所帯を持っている娘夫婦が母親を連れていってしまった。二,三年の盆正月は娘夫婦が空き家の手入れに来ていたものの、今は荒れるに任せている。林太郎《りんたろう》は年に一,二度、はびこったススキを刈ったりしてあげているのだが、この前は直径が十センチもありそうなニセアカシヤを鋸《のこぎり》で倒してやった。二軒の家は集落の外れになっていて、裏は緩やかな斜面の雑木林につながっている。 林太郎《りんたろう》も妻同様、この季節になると柿を収穫したい誘惑に悶々としている。いずれ腐って落ちるだけだ。けれど空き家になっているとは言え他人の持ち物だ。気が咎《とが》める。誰がどこで見ているともかぎらない。さっき夕子《ゆうこ》ももったいないようなことを言っていた。それで林太郎《りんたろう》は共犯者を得たような気持ちになっている自分に気がついて苦笑した。 彼はそろりと柿の実に手を伸ばして枝に四個着いているのをもぎ取り、ジャンパーのポケットに入れた。隣の枝にも六個着いている。これも失敬した。彼はそれを門柱の上に載せる。結局十個もぎ取ってしまった。塀の向こうに入るなら百個は楽に取れそうだ。そうして翌日四十個を取ったところで妻の夕子《ゆうこ》に諭されてやめた。 干し柿にしようとして夕子《ゆうこ》に柿の皮むきを言いつけたらあっさりと断られてしまった。良心が咎めるのだろう。林太郎《りんたろう》とて同じである。彼女が皮むきをしてくれたら共犯者を得た心境で楽になるけれど、結局彼1人で外に吊るすまでやってのけなければならなかった。 翌朝、林太郎《りんたろう》はサラサラと足下《あしもと》を流れる落ち葉の音を心地よく聞きながら外に出てアッと驚いた。柿の木の枝々《えだえだ》が折られて実がもぎ取られているではないか。熊にやられたのだ。幹の中ほどで三つ又に分岐した所に実を取った後の枝々がびっしりと重なっている。 「これは驚いだなや」 林太郎《りんたろう》は思わず呟く。不思議にも熊への恐怖がないばかりか、無残な柿の木を眺めていると柿をもぎ取った罪悪感が次第に薄らいでいくではないか。 〇レシピコーナー 最後に、ご利用者様からのご希望によりこのコーナーにて料理レシピをお届けします。 今月は、あと1品!簡単にできるレシピをご紹介します。 ・簡単なはたはたのバター焼き 簡単なはたはたのバター焼きです!凄い美味しいので、ご飯が進む進むです! 【材料】 はたはた  1パック バター  20g オリーブ油  大さじ1 小麦粉  適量 【作り方】 @はたはたの両面に小麦粉を振ってください。 Aフライパンにオリーブ油、バターを入れて加熱してください。 BAにはたはたを入れて、両面焼きして下さい。 C両面きつね色になったら、OKです。 〇おつまみにも♪厚揚げチーズ納豆 【材料:(二人前)】 厚揚げ  一丁 納豆  1パック チーズ  1枚 小ネギ  適量 醤油かめんつゆ  適量 【作り方】 @厚揚げをグリルで軽く焦げ目がつくまで焼く。納豆を付属のたれと混ぜる。 A焼いた厚揚げを食べやすい大きさに切る。チーズを乗せ、納豆、ねぎを乗せ、醤油かめんつゆをかけて出来上がり♪ 【コツ、ポイント】 簡単です。フライパンでもOK!! 以上、「cook pad」掲載記事から抜粋しました。 他に何か、ご希望・ご意見がありましたら、お知らせください。お待ちしております。