4.みんなの広場 ○秋田市の浅井成雄《あさいしげお》さんより投稿いただきました。 「三年間はやってみる」 秋田酒衣《さけごろも》73 浅井《あさい》 成雄《しげお》 今年の初めから日記をつけている。これまで小学校の宿題を除いては書いたことがない。それが一年の四分の三まで続いたのだから、もう良かろうとオープンにする。 いつもお歳暮で届いた手帳が昨年貰えなかった。何用があるわけでもないが呑み会や通院の予定など書き込んで重宝してたのに。そこで用意したのが三年日記。カミさんが自分も使ってるし一年当り安くなると言うので、そうした。これがあとに述べる通り、一日のスペースが少なく大変いい。私は拡大読書機を見ながらシャープペンで記入している。 日記は三日坊主の代表格とされる。そうなる原因は上手に書こうとするからではないかと私は考えている。そして更には古来の日記文学が影響しているのではないだろうか。 紫式部から現代作家まで日記文学は多く、日本人の頭の片隅に日記のイメージを作り上げている。その勘違いのなかで始めるから三日で行き詰ってしまうのである。 悪者にしてしまったが、いま言った日記は優れた作品だ。ただ、創作でこそないが読ませるためのものである。土佐日記は紀貫之が女になりすまして書いているし、和泉式部なんか自分の性体験を赤裸々に綴っただけだ。だからそのままでは我々の参考にならない。なお上文中の古典にはいずれも現代語訳のデイジーがあり楽しく読める。 ところで学校は相変らず子供たちに、日記には出来事だけでなく感想や気持ちも書きましょうと教えるのだろうか。そんなことするからつまづくのだ。「十月×《ばつ》日和香子ちゃんちで宿題をした。」これで充分だ。楽しい思いは伝わる。 日記に心情を吐露するのは何となく格好よさそうだけど、他人に読まれるとみっともないからイヤだ。私が書くのは、先の国会で問題となったキーワードではないが、記録と記憶だけである。冒頭に触れたが、手元の日記帳はA5判一頁の縦3段に三年分と横2列が二日間の欄となっている。お気付きの如く妄想を盛り込む余地はない。大して好都合なのである。三年は続けられそうだ。(おわり) ○利用者のみなさんより、俳句の投稿いただきました。 ・継ぐ子なき 鎌黙々と 稲を刈る  熊谷《くまがい》 幸二郎《こうじろう》 さん ・庭の桃 もぎし幼《おさ》なは 走りけり  宇佐美《うさみ》 咲子《さきこ》 さん ○三種町《みたねちょう》の武田《たけだ》金三郎《きんざぶろう》さんより投稿いただきました。 秋田県一短い小説・その十五 五百円硬貨 午前九時半、小池寛治は車を走らせていた。二年前までは正社員であったから、幹線と交叉するここの信号でたいてい三回待ちしなければ通り抜けできなかったのが、嘱託になった今の時間帯だと青ならブレーキを踏まなくてもいいくらいスカスカになっている。が今朝は黄信号で停車させられた。 信号待ちの若いとも言えなくなりかけた女性がいる。なかなか美人じゃないか。無防備に見つめていたらいきなり鋭く咎める視線を向けられ、寛治は視線を歩道の段差に逸らした。ぎこちなく身を固くしてその一点を凝視していたら五百円硬貨らしきものが浮き上がってきた。泥にまみれているせいで拾われることなかったのだろう。 どうしよう、と逡巡していたら背後でクラクションを鳴らされた。どこか駐車場がないか、探しながら走ると意外にないものだ。結局百五十メートルほど走ってコンビニに置くことができた。会社に遅れるけれどやむを得ない。嘱託だから責任ある仕事から外されていることだし。それより目先の五百円を確保するのが焦眉の課題である。 「五百円で何が買えるか」 駐車場に車を置いて戻りながら寛治は小声で呟く。靴下がくたびれているから、二足組五百円のやつでも買おうか。タバコを止めたら口が淋しいのでアメダマを舐めている。たまにはチョコレートにしたいけれど。常飲しているイモショウチュウ、プラス五百円だと一《わん》ランク上を買える。ラーメンでも食べたいが五百円では足りない。たかだか五百円なのに、いざ決断しようとするとバカみたいに混乱するではないか。 「そうだ、美弥子にシュークリームを買おう」 寛治の口からさっきより明瞭な声が出た。それですれ違いかけた小母さんから怪訝な顔を向けられたほどだ。ここ二,三日、妻美弥子の機嫌が悪い。 原因は自分にありそうだが心当たりはない。妻が言ってくれるまで一週間から十日はかかる。彼にはこれが堪える。好物のシュークリームを鼻先に突きつけたら不機嫌は原因もろとも雲散霧消することだろう。なら車を置いてきたコンビニで買えばいい。寛治は決断した。 決断を下したら目指す交差点はすぐ目の前になっていた。おり良く直進の横断歩道の信号が青に変わってくれた。そこを直進して左に曲がった横断歩道の段差に五百円硬貨が自分に拾われるのを待っているのだ。寛治の心はいやが上にも高まる。たかだか五百円硬貨一枚なのに、と思うゆとりすら今はない。 『あった!』 心の中で快哉を叫んで手を差し伸べようと身を屈めかけた瞬間、不意にママチャリの前輪が割り込んだではないか。 「おやまあ」 わざとらしい小母さんの声。五百円硬貨は彼女の靴であっ気なく取り押さえられた。 ○レシピコーナー 最後に、ご利用者様からのご希望によりこのコーナーにて料理レシピをお届けします。 今月は、秋の食材、柿と胡桃を使ったレシピをご紹介します。 ・秋味!柿と胡桃のごちそうトースト 秋を感じる材料で、乗せて焼くだけで簡単!朝から幸せごちそうトースト 材料:(食パン一枚分) 食パン  1枚 柿  1/2 クリームチーズ  個包装のもの1個 バター又はマーガリン  お好みで 胡桃  4、5粒 粉糖(粉砂糖)  お好みで 作り方 ①食パンにバターかマーガリンを塗る。 ②スライスした柿をのっける。 ③クリームチーズをちぎりながらのせ、胡桃ものせる。 ④オーブントースターで3分!お好みで粉糖をふるえば完成! コツ、ポイント 今回は熟してトロトロの柿を使用。かたい柿よりは柔らかい方が美味しく出来るかな? ・柿と菊の花のくるみ和え 脳卒中予防のために開発した減塩レシピです!鹿角産の食材を食塩をあま り使わずにおいしく食べることができますよ。 材料:(4人分) 柿  2個 菊の花(もってのほか)60g くるみ  150g 砂糖  大さじ1(柿の甘さによって加減) 塩  一つまみ 作り方 ①柿は皮をむき、2個分をそれぞれを8等分に切る。 ②菊の花は、酢を入れて茹でて水気を絞る。 ③くるみはすり鉢ですり、砂糖、塩を入れる。 ④柿と菊の花を和える。 コツ、ポイント 柿にはビタミンCがたっぷり!風邪予防や疲労回復、老化防止などに効果があります。また、柿のポリフェノールには血液サラサラ効果も。 【栄養価(1人前あたり)】エネルギー:362kcal カリウム:415㎎ 塩分相当量:0.5g 以上、「cook pad」掲載記事から抜粋しました。他に何か、ご希望・ご意見がありましたら、お知らせください。お待ちしております。