4.みんなの広場 ○秋田市の浅井成雄《あさいしげお》さんより投稿いただきました。 「 コロコロそれともピーピー 」 秋田酒衣《あきたさけごろも》72 浅井《あさい》 成雄《しげお》 高校時代試験勉強でよく徹夜した。若さ故である。机の小型ラジオから流れる深夜番組を聞きながら。 当時終夜放送は民放だけだった。夜が更《ふ)けると音声はおネエさん方のなやましいささやきに階下で寝ている両親を起こすまいとボリュームを絞る。何か禁断の木の実を口にするような気分でスピーカーを耳にあてる。それだけで男の子は体がムズムズした。これも若さ故である。 やがて空が白むのを感じると重苦しかった夜はどこかへ去り、少し開けた窓から入ってくる朝の冷気が新しい一日の始まりを告げてくれた。そのときまだ眠気の残る部屋を満たしたのが早朝番組のテーマ音楽であるフルートの音色だった。私はすっかり魅せられてしまった。 勤めに出るようになって憧れのフルートを手にした。週一回の教室にも通った。せん律楽器だから楽譜も一本だろうと調子にのったのではある。 指導は芸大の学生さんで、銀のフルートを持っていた。コロコロと鈴が鳴った。私のは練習用なのでピーピーと笛が叫ぶ。 音階レッスンの期間を過ぎると教則本には美しい曲が並び楽しくなってくる。そしていよいよ合わせることになった。 先生が左後方に立った。私はうなづきの合図で細い息の糸を繰り出す。 ヤーダー始まっちゃったよ。先生が追ってくる。どうしよう。 三拍子で進む曲の中程で、低音部を支える先生が二拍目三拍目に入る箇所が数小節あった。そのンピッピンピッピが力強かったこと。先はまだ長い。鈴と笛の違いだな。 最後伸ばしてどうにか終止符。振り向くと曇ったメガネ越しに先生のほほえみが見えた。ガッチリ握手した。 本号を聞く頃周りは秋のたたずまいだろう。音楽に親しむ候となった。私はもうフルートをやらないが、この季節、レッスンに燃えた日々を想い出す。(おわり) ○利用者のみなさんより、俳句の投稿いただきました。 ・バーゲンの 列に加わる 秋用意  萩野《はぎの》 けい さん ・鬼灯の 鳴らし上手は 祖母一人  熊谷《くまがい》 幸二郎《こうじろう》 さん ・朝顔の 鉢を抱えし 出校日  宇佐美《うさみ》 咲子《さきこ》 さん ○三種町《みたねちょう》の武田金三郎《たけだきんざぶろう》さんより投稿いただきました。 秋田県一短い小説・その十四 なれ初めは幼稚園 「聞ーいちゃった聞いちゃったー。隆平クンの好きな人聞いちゃったー。隆平クン、言ってもいいかな」 「ああいいよ。だっていないからボク平気だよ」 梅雨明けの夕刻、幼稚園玄関口で園児たちがお母さんたちのお迎えを待っているのだが、あかねちゃんのお母さんが隆平にニヤニヤした笑顔を向けながらはやしたてる口調で言ったので、隆平はムキになって言い返した。隆平はあかねちゃんのお母さんをあんまり好きではない、というかとても好きではない。この前だって亮クンを今みたいにニヤニヤしながらからかっているのを見た。 「アラッ、じゃあ言っちゃおう。隆平クンの好きな人はねえ、遥ちゃん。当たりでしょ」 「違うー! 遥ちゃんなんか大嫌いだ!」 隆平は顔を真っ赤にして抗議した。するといきなり廊下の角でワーッ、とありったけの声を張りあげて泣き出した園児がいる。遥ちゃんであった。遥ちゃんはまるでこの世の終わりでもあるように、ワーッワーッとありったけの声を張りあげて涙と鼻水を出るに任せて泣きじゃくり、先生たちがかけつけても泣き止まないどころか、逆にますます激しく泣き続けるではないか。隆平は当惑した。 自分は皆の前で遥ちゃんの自尊心をキズつけてしまったのだ。むろん園児の隆平に自尊心とかキズつけるなどという言葉などしらない。けれどそんな気持ちにおそわれたのは確かだ。隆平は本当は遥チャンが大好きなのだ。遥ちゃんの他に好きな人など思ったことすら一度もないというのに、あかねちゃんのお母さんの変にニヤニヤした言い方がとてもいやらしいものであったから叫んでしまったのだ。 次の日から遥ちゃんは隆平を無視するようになった。隆平はチラチラと様子を眺めているしかなかった。夏休みが終わろうとする前の日、隆平は決心して遥ちゃんの家に一人で出かけた。二十分もかかる遠い道を一人で出かけるのには勇気がいたけれど、通園バスで道順は知っている。園が始まるまでに何としても遥ちゃんと仲直りをしなければならない。玄関に現れた遥ちゃんの顔は怒っていない。 「遥ちゃん………。ハッ、ハッ、ハッ………遥ちゃん、ゴッゴッ、ゴッゴメンッ………ハッ、ハハッハル、ゴッ、ゴッゴッ………」 万感の思いに突きあげられ、声が詰まると同時にしゃくり上げで喉が詰まる。遥ちゃんの前だけれどへんてこな泣き方になってしまうし、涙が溢れて遥ちゃんが見えなくなる。 「隆平クンったらあどうしたの。まあまあまあ」 遥ちゃんのお母さんが驚いて飛び出してきて隆平を抱きしめると、ようやく大声で泣くことができた。こうして二人は仲直りした。 ○「わくわく文化祭のご案内」 秋田県視覚障害者福祉協会の高橋と申します。 今年も秋視協《あきしきょう》 わくわく文化祭を開催致します。 かつては盲目の僧侶が琵琶法師として各地を回っており、琵琶は盲人と関わりの深い楽器です。 どうぞこの機会に琵琶の音色を楽しんでみませんか? またフードコーナーとして、軽食・おつまみ・スウィーツ・飲み物などを販売致しますので、どうぞご利用下さい。 当協会の会員でなくても、どなたでも大歓迎ですので、どうぞお気軽に足を運んでみてください。 多数の皆様のご来場をお待ち致しております。 ●期日 平成29年10月1日(日) ●会場 秋田県社会福祉会館10階大会議室及び9階第4会議室 ●日程 9時30分 受付(1階ホール) (10階大会議室) 10時00分 開会式 10時15分 文芸作品の発表と講評 11時00分 琵琶演奏会 テーマ 「琵琶の音色と語りを楽しむ」 錦心流琵琶奏者《きんしんりゅうびわそうしゃ》  鷹嘴《たかのはし》 優水《ゆうすい》 氏 12時00分 アトラクションなど フリータイム  13時00分 昼食 15時00分 閉会 ○「朗読のつどい」開催のご案内  私達「はまなす」は、目の不自由な方々と、その家族を交え、そして、地域の幅広い世代の皆さんに朗読を通して、本に親しんでいただきたく「朗読のつどい」を開催いたします。 ・開催日 平成29年10月7日(土) ・時 間 午後1時30分〜3時 ・会 場 ほくとライブラリー土崎図書館2階 研修室(エレベーター在り) ☆朗読作品 桜田 隆 作  「土崎のおがはん方の井戸端会議」と「もっきり酒《ざけ》」(朗読劇) 松谷 みよ子 作 九百九十九の石段 作者不詳     安達ヶ原《あだちがはら》の鬼婆《おにばば》 松田 解子《ときこ》 作  お耳の中のピアノ 矢田 津世子《つせこ》 作 「思い出の町」から 伊藤 永之介《えいのすけ》 作 「警察日記」から 大川 悦生《えつせい》 作   へっこきあねさが よめにきて 土崎図書館朗読ボランティア「はまなす」 問合せ ほくとライブラリー 土崎図書館  電 話 018-845-0572 ○レシピコーナー 最後に、ご利用者様からのご希望によりこのコーナーにて料理レシピをお届けします。 今月は、秋鮭を使ったレシピをご紹介します。 ・秋鮭のしそバター親子ごはん 大葉(青じそ)をたくさんたべよう。 材料(約4人分)) 大葉(青じそ)  10枚(8g) 生鮭  2切れ 塩こしょう  各適量 無塩バター  30g しょうゆ  大さじ1と1/2 ごはん  2合分(固めに炊く) いくら  大さじ4 作り方 @鮭に塩こしょうする。 A大葉(青じそ)は縦4等分に切り、千切りにする。 B温めたフライパンにバター(20g)を入れて溶かし、@を皮目を下にして入れて香ばしく両面焼く。 C仕上げにしょうゆを入れて皿に取り出してほぐす。皮ははがして細かく刻む。 D温かいご飯に、バター(10g)と塩こしょうを入れて、混ぜながら溶かして混ぜる。 EAの大葉(青じそ)とCの鮭を加えて、混ぜ合わせる。 F器に盛り、上にいくらをのせる。 ・秋鮭の南蛮漬け 秋鮭をカラッと揚げてマリネ液に浸します。作り置きして冷蔵庫で冷やしても美味! 材料(2〜3人分) 秋鮭  300g 玉ねぎ(中)  1/2個 人参(中)  1/2個 片栗粉  適量 油  適量 マリネ液A 酢  大さじ4 マリネ液A 薄口醤油  大さじ2 マリネ液A みりん  大さじ2 マリネ液A 砂糖  大さじ2 作り方 @玉ねぎは櫛形に薄く切る。人参は1p幅の薄い短冊に切る。 Aボウルに、マリネ液Aを混ぜ合わせてマリネ液を作り、切った玉ねぎ、人参を浸す。 B秋鮭は食べやすい大きさに切り、片栗粉をまぶす。 C揚げ油を180℃に熱して、秋鮭を揚げ、マリネ液に漬ける。 コツ・ポイント 冷蔵庫で2〜3日保存できます。作り置きのおかずとして重宝します。 以上、「cook pad」掲載記事から抜粋しました。 他に何か、ご希望・ご意見がありましたら、お知らせく ださい。お待ちしております。 10ページ