4.みんなの広場 秋田市の浅井成雄《あさいしげお》さんより投稿いただきました。 「植物的人生論」 秋田酒衣《あきたさけごろも》71 浅井《あさい》 成雄《しげお》 @オイオイ前号で人生論は好かんと書いただろ、なんて言われそうだな。ただ、植物学者田中収《たなかおさむ》の本を読みたかったのだ。 田中先生はNHKラジオ夏休み子供科学電話相談で植物の質問に答える。独特の関西弁と平易な説明で、私は毎年楽しみに聴いている。借りたデイジーは「植物のあっぱれな生き方」である。 A植物と動物の違いとは、からこの本は始まる。それは自分で移動できるかどうかである。そのうえで生き物の基本行動は、一つに食物を求める、一つに子孫を残す、一つに身体を護る、である。動物は自由に歩き回ってこの三つを行うが、植物は動かずとも同じことを成し遂げる。だから「あっぱれ」と書名に行き着く。 食を例にとれば、光合成でブドウ糖を作り自らのエネルギー源とするのは学校で教った。 他のあっぱれもいくつか本書の見出しを並べよう。曰く、石橋を叩いても渡らない、苦難に耐えて待つ、期待に応えて頑張る、分相応に生きる、等々。いずれも興味深く、ある項目で植物は気温・明暗・時間が分かる仕組みを持つ、といった話にも感心する。 植物の生態に人間の営みを対比させて人生訓話とするのは無理がないわけではない。だとしても彼らの智恵と努力には驚き、ヒントにもなる。同時に著者の花木への思い入れを感じる。 Bその田中先生が出演する子供向け科学番組で解答ぶりがユニークだと前の方に書いた。この本を読んでると話の進め方がラジオの語り口に似ている気がした。以下に示そう。 花は話しかけると美しくなるかとの問に、声かけでなく撫でることと応ずる。神経がないのになぜ触られたのが分かるのか疑問が浮かびます、と続ける。そして刺激でホルモンが出て茎を太くし大きな花を乗せる、と種明かしする。さらに、といっても植物が優しい言葉を理解することが否定されたわけではないと言う人もいるでしょう、と展開する。これには、では悪口を浴びせながら撫でてください、と明快に締め括る。 少し長くなったが以上の運びは放送を聴くようだ。音声が再現できず残念。 C人生論の最後は一生の終え方だ。近頃は終活とか言ってファッション化してしまい嘆かわしい。植物を見習いたい。 先ず、秋の紅葉は若い芽を有害な紫外線から護る働きがあるのを知った。次世代の命に思いを託すのだろう。いよいよの落葉は風に飛ばされるのではなく、自分から枝を離れるそうだ。だから根元はまだ青々としているという。いさぎよくあっぱれな散り際だ。(おわり) ○利用者のみなさんより、俳句の投稿いただきました。 ・庭先の 鉢植辺り 雨蛙  萩野《はぎの》 けい さん ・暫くは 旅の話よ ラベンダー  熊谷《くまがい》 幸二郎《こうじろう》 さん ・へばり付く 郵便受けの 雨蛙  宇佐美《うさみ》 咲子《さきこ》 さん ・愛犬の 器に残る 瓜の種  柿崎《かきざき》 妙子《たえこ》 さん ○三種町《みたねちょう》の武田金三郎《たけだきんざぶろう》さんより投稿いただきました。  秋田県一短い小説・その十三 アイマスク 八月の第一土曜日、朋佳は典也から視覚障害者青年部のレクリエーションに誘われている。この日、彼女は典也に絶交を告げる決意をしてから承諾のメールを送った。典也が事故に遭遇して視覚の全てを失ったのは三年前、二十三歳のことである。朋佳が愛したのは事故前の典也なのだ。全盲になったから愛せなくなったのではない。事故を境にまるで魂が入れ代わったのではないか、と真剣に考えてしまうほど別人格になってしまったのだ。 「盲学校に入ったらね、専攻科だから高等部を卒業したての十八歳からね、中途失明の四十歳過ぎの社会人までいるんだ。社会人の中には大学卒だって三人もいるんだよ。でもそいつ等、大したことないんだ」 点字の習得も鍼灸の基本中の基本である三百六十もある経穴(ツボ)を覚えるのも、鍼や按摩マッサージなどの実技練習でも自分が一番だ。典也は朋佳に会う度、こうした自慢を羅列するのだ。事故前は決してこうではなかった。 「そうなんだ」 まるで心の準備もなく一瞬にして失明という重荷を負わされたのだから心の平衡を保つには自分がいかに優れた人間であるかを誇示しなければならないのかもしれない。悲しみのいくらかでも背負うつもりで彼女は彼の言う全てを受け入れてきている。だがもう疲れた。そうして苦しい。盲学校クラスメートと交際している、という囁きを耳にしたのは夏休みに入るため彼を寄宿舎に迎えに行った日のこと。つい五日前でしかない。 海浜でのレクリエーション、二人はよく泳いだ。浜から離れて泳いだ所で話そう、と思ったけれど全身で喜びを発散させながら泳いでいる彼を見つめていると、到底口には出せない。そうしてあっ気なく昼になってしまった。午後はアイマスクを装着しての白杖の体験歩行になっていた。五人目、朋佳はアイマスクと白杖を渡され、スタート地点に立たされた。五十メートルほど歩き、左折して十段ある階段を下りて砂浜を二十メートルほど進んでから引き返すコースになっている。 「あっ」 アイマスクを装着した瞬間、朋佳は短く悲鳴をあげた。一歩、二歩三歩と前に進む。けれど怖い。まるっきりの闇。アイマスクを装着するとき前方を確かめて真っ直ぐ進めばいいだけだと思っていたのに岩が前方を塞いでいる、足下が断崖になっている恐怖。 「おねえちゃん、上手上手。そのまま真っ直ぐだからね」 小学生らしい男の子が十数メートル先で手を叩きながら声で誘導してくれている。なんと優しい声だろう。朋佳は胸をつかれた。自分は典也にあの子のような優しい声をかけたことなど一度としてなかった。彼のアイマスクは生涯外せないというのに。 「ボク、ありがとうね」 アイマスクの中、朋佳の目が徐々に潤んでいく。 ○「わくわく文化祭のご案内」 秋田県視覚障害者福祉協会の高橋と申します。 今年も秋視協《あきしきょう》 わくわく文化祭を開催致します。 かつては盲目の僧侶が琵琶法師として各地を回っており、琵琶は盲人と関わりの深い楽器です。 どうぞこの機会に琵琶の音色を楽しんでみませんか? またフードコーナーとして、軽食・おつまみ・スウィーツ・飲み物などを販売致しますので、どうぞご利用下さい。 当協会の会員でなくても、どなたでも大歓迎ですので、どうぞお気軽に足を運んでみてください。 多数の皆様のご来場をお待ち致しております。 ●期日 平成29年10月1日(日) ●会場 秋田県社会福祉会館10階大会議室及び9階第4会議室 ●日程 9時30分 受付(1階ホール) (10階大会議室) 10時00分 開会式 10時15分 文芸作品の発表と講評 11時00分 琵琶演奏会 テーマ 「琵琶の音色と語りを楽しむ」 錦心流琵琶奏者《きんしんりゅうびわそうしゃ》  鷹嘴《たかのはし》 優水《ゆうすい》 氏 12時00分 アトラクションなど フリータイム  13時00分 昼食 15時00分 閉会 ○レシピコーナー 最後に、ご利用者様からのご希望によりこのコーナーにて料理レシピをお届けします。 今月は、なすを使った簡単レシピをご紹介します。 ・なすとベーコンのガリバタポン酢炒め サッと炒めるだけの簡単メニュー。ガーリック+バター+ポン酢のチームワーク抜群です。 材料(2人分) なす  1本 スライスベーコン  1パック(4〜5枚) エリンギ  1本 オリーブオイル  大さじ1 きざみニンニク  小さじ1 ハーブソルト  少々 バター  1/2片 ポン酢  小さじ1 作り方 @なすのヘタを取り、縦に半分にしてから斜め切りに。スライスベーコン・エリンギを短冊切りに。 Aフライパンにオリーブオイルときざみニンニクを入れ中火にかける。 Bニンニクの香りが出てきたら@を入れ、ハーブソルトをパラパラと。 C軽くヘタってきたら強火にして、バターとポン酢を絡めて完成。 コツ、ポイント ポン酢を入れてじゅわっとなったらすぐあげる。焦げないように。 ・茄子の豚肉巻き みぞれあんかけ みぞれあんかけが豚肉とお茄子をあっさり仕上げてくれます。生姜を添えることで食欲増進ですね! 材料(4人分) 豚肉スライス  300g 長茄子  1本 塩  適量 みぞれあんかけ用調味料 水  200t 昆布茶  小さじ1/2 白だし  25〜30t 大根おろし  10センチ分 水溶き片栗粉  片栗粉大さじ1/2とお水 生姜(すりおろし)  適量 作り方 @茄子を1センチ角の棒状に切る。 A豚のスライス肉を広げ塩を適量振り@の茄子を2、3本乗せ、端 から巻いていく。 BAに片栗粉(分量外)をまんべんなくまぶし油を敷いたフライパンでこんがり焼く。 C別の鍋にみぞれあんかけ用合わせ調味料の材料を入れ煮立たせ煮立ったら、軽く絞った大根おろしを入れさっと煮たあと、水溶き片栗粉でとろみをつける。 DBの肉巻きを器に盛りみぞれあんをかけ、すりおろした生姜とお好みで七味唐辛子をかける コツ・ポイント おだしは昆布茶と希釈用の白だしを使いました。うどんのおつゆをもう少し濃くした感じにしましたが、濃い味付けがお好みなら、醤油をプラスして加減してください! 以上、「cook pad」掲載記事から抜粋しました。 他に何か、ご希望・ご意見がありましたら、お知らせください。