4.みんなの広場 ○秋田市の浅井成雄《あさいしげお》さんより投稿いただきました。 「ことば言葉コトバ」 題名はハムレットから借用 浅井《あさい》 成雄《しげお》 ①はじめの言葉 学生時代の勉強の名残りで私は今も言葉を大事にしている。これは書くときも話すときも心掛けている。 そんな私のアンテナに入ってくる気になる言葉のいくつかについて、考えるままを綴ってみる。アンテナ感度はまずまずだと思う。 ②漱石先生の言葉 夏目漱石は昨年が没後五十年で今年は生誕百年。つまり四十九才で世を去った。読んでいると言葉の癖に気付く。 「自分みたいな人間」と言うべきを「自分みたな人間」と「い」抜きで書いている。創作意図があると思えないが、結構多い。他に目立つのが「駅に着かない前に」という表現だ。着かないうちとするか着く前にとするかである。 彼は文豪だが当て字が多かったそうだ。デイジーでは分からないこの逸話は漱石を身近な作家にしてくれる。 ③なんだかへんな言葉 世間を騒がす問題が起きると責任者が出てきて、「結果として」大事に至ってしまいと釈明し「遺憾」と詫びる。それぞれ都合いいのとアイマイなのとへんな言葉二つである。 「結果として」には、自分はそのつもりでなかったがそうなったので仕方ないの意味が言外にある。体のいい言い訳だ。 厄介なのが「遺憾」。この言葉は自分を責める場合にも他人に文句を言う場合にも使う。これではどっちを向いて謝っているのかはっきりしなくなる。 ④どこかおかしな言葉 ラジオやテレビに出ると改まるせいか敬語が多用されがちである。しかも言い慣れないおかしな言葉になる。 「おっしゃられる」は「おっしゃる」でよい。「歌わさせて戴く」は「歌わせて戴く」で充分だ。  この二例はいずれもある有名人が使い始めた。ていねいの上にていねいを重ねようとする気持ちはよく伝わる。 ⑤辞書の言葉 手元にデイジー図書「不明解日本語辞典」がある。書名が駄洒落なのは勿論である。全部で三二の言葉を俎上に乗せ、あげ足取りでなく、うんちくを傾ける。いま流行りの「っていうか」にもユニークな考察がたいへん鋭い。 言語学の専門解説も加わるが知的好奇心を満足させるに十分である。 ⑥おわりの言葉 気になる言葉に言葉の乱れと目くじら立てること勿れ。本当に乱れたら意思は通じなくなるが、まさかバベルの塔じゃあるまいしそうはならない。 昨今の現象は乱れではなく言葉のゆれと見るべきだ。そしてゆれが言葉を豊かに変化させると私は考える。 (おわり) ○視覚障害者俳句サークル「千秋句会」さんより俳句の投稿いただきました。 ・山路《やまじ》来《き》て 湧き水汲めば 花菖蒲《はなあやめ》  萩野《はぎの》 けい さん ・萌え赤く やがて青める 白南天  熊谷《くまがい》 幸二郎《こうじろう》 さん ・さくらんぼ 産地を後に 宅急便  宇佐美《うさみ》 咲子《さきこ》 さん ○三種町の武田金三郎《たけだきんざぶろう》さんより投稿いただきました。 秋田県一短い小説・その十一 幸せの粥痒《かゆかゆ》 庄太郎は八十九歳になる。医者の薬を服用していないところをみると体は健康と言っていいだろう。八十二歳の年に妻を亡くして以来ひとり暮らしをしている。妻が亡くなった翌年、彼はそれまで使用していた総入れ歯を外してしまっている。総入れ歯を外すと、十歳くらいかそれ以上老けた人相になるものだ。それで彼を百歳を超えていると思っている人もいるらしい。 もっとも今の庄太郎には九十歳だろうが百歳だろうがどうでもいいことで、だから人に訊かれる都度、九十歳かと問われても百歳かと問われても「うんだあ」と答えているほどだ。彼は町の中心部から二十数キロ遠い集落に住んでいる。昔は二十数戸あった集落も草茫々《くさぼうぼう》の空き家とサラ地の中、八戸しか住んでいない。いずれも七十代前半から八十代ばかり。夫婦二人が一戸、あとはデイケアサービスに通所していたり入院だったり。  庄太郎は天気さえよければ毎日の散歩を欠かさない。だがこれを散歩と言うには少しばかり疑問が残る。なぜにと言うと、彼はこの地方でネゴと呼ばれる荷物を背負うときに使うのを背に負い、鋸を腰に結わえて家を出るのだ。そうして小一時間、道端の杉林や雑木林にちょっとばかり入り込んでは雑木や落枝などを鋸で適当な大きさに切る。帰り、彼の背中には二宮金次郎が背負《しょ》っている半分ほどの薪が乗っかっているのである。彼はこの薪で煮炊きをする。何を煮炊きするかと言うと たいてい決まている。集落には週に一度移動販売車がやって来るのだが、庄太郎のために欠かさず持ってきてくれる品にブリアラがある。ブリアラがなければマグロカマとか鯛アラになることもある。ひとパック三百五十円也、たいていこれしか買わない。庄太郎はブリアラに裏の畑から収穫したジャガイモや大根、ニンジンその他の野菜や山菜などを適当に刻んで味噌と共に鍋に入れ、最後にコップ二杯ほどの玄米を入れてトロトロと煮込む。これが彼の一週間口にする主食になる。それも朝と夕の一日二食、その都度トロトロ煮込むというか温めるものだから、いっかなブリアラ、玄米と言えども原型をとどめない粥状になってしまう。見た目はともかく、これがまずいわけはない。むろん歯だって必要がないというわけだ。彼は三,四日置きに薪で沸かした据え風呂に入る。ゆっくり浴槽に浸かっていると、自然に民謡だか何だか判然としない節回しが口から漏れる。そいつをか細い裏声でうなりながら浴槽に膝立ちになって顔と頭を洗い、次いで首、肩から両腕と足先まで洗い流す。老人になると体のあっちこっちが痒くなってくる。老人性掻痒症《ろうじんせいそうようしょう》というやつだ。風呂から上がると痒いところをポリポリ掻くのだが、これほど気持ちのいいものはない。ひとしきり掻いた後、今度はメンタムを丹念に塗りたくるのである。するとハッカを連想させる清涼な刺激がシーシーと皮膚に染込む。これまた掻いたときにも増して気持ちがいいのだ。シンシンと静寂だけが支配する夜。庄太郎の幸せな一日はこうして過ぎていく。 ○レシピコーナー 最後に、ご利用者様からのご希望によりこのコーナーにて料理レシピをお届けします。 今月は、オクラを使った簡単レシピをご紹介します。 ・きくらげとオクラで☆スタミナ鶏もも肉炒め 食欲がわかない時こそ、ガッツリいけるメニューで体力回復。ミネラル豊富な夏野菜で、暑い夏を乗り切りましょう!! 材料 乾燥きくらげ  7g 鶏もも肉  150g オクラ  100g 焼き肉のタレ  大さじ1.5 塩コショウ  適量 ごま油  大さじ1 作り方 ①鶏肉を食べやすい大きさに切ります。 ②切った鶏肉をジップロックに入れ、焼き肉のタレで漬け込みます。空気を入れないようにしてください。 ③きくらげを水戻しし、適当な大きさに切ります。 ④オクラを適当な大きさに切ります。 ⑤食材をごま油で炒め、塩コショウで味付けして完成。 コツ、ポイント もも肉をタレで漬け込むと、味が染みて美味しくなります。 ・生姜香る 新玉ねぎとオクラのサラダ なんとなく体がだるい日、生姜でさっぱりした新玉ねぎとオクラのサラダでモリモリ元気になります♡ 材料(2人分) 新玉ねぎ  1個 オクラ  4本 かつお節  適量 すりおろし生姜  小さじ1 醤油  小さじ1~2 胡麻  適量 作り方 ①新玉ねぎを薄めにスライスし、水にさらします。 ②オクラをお湯で30秒ほど煮て、湯切りして適当な大きさに切ります。 ③ボウルによく水切りした新玉ねぎ、オクラ、かつお節、ゴマ、すりおろした生姜、醤油を入れてザックリ混ぜて完成。 コツ・ポイント 生姜と醤油の量はお好みで調整してください。新玉ねぎの水気はしっかりきると水っぽさがでません。 以上、「cook pad」掲載記事から抜粋しました。 他に何か、ご希望・ご意見がありましたら、お知らせください。お待ちしております。