4.みんなの広場 ○秋田市の浅井成雄《あさいしげお》さんより投稿いただきました。 「季節を伝える言《こと》の葉《は》」 浅井成雄《あさいしげお》(六十代) NHKラジオ深夜便の1コーナーに「ピアノが奏《かなで》る七十二《しちじゅうに》候(天候の候)」がある。折々《おりおり》の七十二候をイメージした16小節位のメロディーが流れる。 以前本欄で二十四節気《にじゅうしせっき》について書いたとき七十二《しちじゅうに》候を知った。この程デイジー図書「七十二《しちじゅうに》候が丸ごと分かる本」を見付けた。後述するが同書は是非手元に置きたい。 さて七十二《しちじゅうに》候である。ご案内の通り二十四節気《にじゅうしせっき》は大寒《たいかん》とか夏至《げし》など、1年を24に区切った節目の日をいう。七十二《しちじゅうに》候はその間を3つに分け、5日毎に折節《おりふし》の動植物や気象といった自然の様子を短く表言する。3×24で72だ。 本紙が届く5月の例で見よう。5月5日が二十四節気の立夏。5日から9日は立夏初候といい「蛙《かわず》初めて鳴く」。続く6日は次候「ミミズ出《いず》る」。最後20日迄の末候は「筍長《たけのこちょう》ず」となる。冒頭で触れたラジオ番組は七十二《しちじゅうに》それぞれの文言をピアノ小品に仕立てたものである。 七十二候は5日暦《こよみ》の役目だけではないようだ。我々が日頃は見過ごしてしまう自然現象を的確に描写して季節を伝えてくれる。それにより日本の四季を味わう感性《かんせい》が高まると思う。 ただ私の場合だが、目が悪いので花が開いたり虫が這い出るのは弱い。 句会でもその手のは作れなかった。そこで、前にも記したことではあるが、匂い・音・空気他目に頼らない感性を大事にしている。私は雪のにおひを嗅ぐことができる。 「秋来《き》ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる」 これは有名な平安和歌だが、不勉強にして詠み人は忘れた。風鈴を始め風に情趣を覚えるのは日本人だけらしい。戯(たわむ)れに現代風の訳をつけてみた。 「うなだれる氷のぼり〔「氷のぼり」に傍点〕に秋の風 光の粒のやわらかきかな」お粗末さま。 最後に、採り上げたデイジーについて述べておこう。この本には七十二《しちじゅうに》候に加えて時節に応じた料理・行事や生活の知恵まで載せていて重宝する。巻末には気象の言葉として、雨や雲の呼び名が並んでいる。いずれも感性に富む言の葉である。(おわり) ○視覚障害者俳句サークル「千秋句会」さんより俳句の投稿いただきました。 ・片栗《かたくり》の 花に寄り添《そ》ふ《う》 山の家  萩野《はぎの》けい さん ・おぼつかぬ 稚児《ちご》の歩みや 春の土  熊谷幸二郎《くまがいこうじろう》 さん ・月光《つきかげ》に 浮き立つ桜 川向《かわむこ》う  宇佐美咲子《うさみさきこ》 さん ○三種町《みたねちょう》の武田金三郎《たけだきんざぶろう》さんより投稿いただきました。 秋田県一短い小説・その九  黒い眼鏡の男 すっかり忘れていて、だから何十年となく思い起こすことなどあろうはずがないのに、ある日それが不意に、しかもあたかも昨日の出来事であったかの如く蘇ることがある。あの光景は賢治《けんじ》が小学一年生のことであったか二年生であったか、もしかしたら小学校に入る前であったか。そこの記憶だけが曖昧ではあるのだが。 季節は春、晴天の日曜日、賢治たちガキどもは道幅いっぱいに駆け回って鬼ごっこをしている。向こうの国道にバスが停まって一人の男が降りてくるのが見える。男は前の週も、その前の週もバスから降りてきた。男は黒い眼鏡をかけて革の鞄を持っている。もう一方の手には白い杖を持っている。バスを降りると男は立ち止まった姿勢で耳をすまし、辺りをうかがうようにしてからおもむろに白い杖をコツコツと叩いて村への道を下りてくるのだ。顔はいつも真っ直ぐに向けられている。 男を発見すると、賢治たちガキどもは一瞬にして動きを止めてしまう。のみならず、走り回って息が上がっているにもかかわらず呼吸音すら止め、立ち尽くして黒い眼鏡の男を凝視し、男が通り過ぎてさえ背中から目を外せないのであった。白い杖がコツコツと遠のき、角を曲がったところで、ガキどもはようやく縛りから解放されたように皆が一斉にフーッと深呼吸をしてから互いに顔を見合すのであった。 「あれはメグラの鍼師なんだどやー。三次郎《さんじろう》の家さ行ぐんだどやー」 ガキの一人が黒い眼鏡の男が消えた角を曲がったあたりになおも視線を凝らして言った。鍼師とは何であるか、ガキどもの誰一人として知ってはいない。なのに皆が納得したように頷き合っているのだ。 その後、賢治は一人でいるとき、黒い眼鏡の男ともう一度会ったことがある。アッと気がついた瞬間全身が竦んでしまった。今動くと黒い眼鏡の男に発見されてしまう。怖い。得体の知れない不気味さ故のものであった。賢治は棒を飲込んだように硬直し、黒い眼鏡の男から目を逸らすことすらできなかった。そうして何事もなく通り過ぎて行っても、なおしばらく緊張から解放されなかったものだ。 あれから五十数年が過ぎ、賢治は白杖を持つ身になり、黒い眼鏡の男と同じ鍼あんまマッサージを生業にしている。が黒い眼鏡はかけていないし革の鞄を持ち歩くこともない。彼の白杖の使い方はかつての黒い眼鏡の男のそれとは比べ物にならないほどおぼつかないものだ。それでも馴れた道ならどうにか一人歩きはできる。 散歩の道で会う人たちとは馴染みになっているのだが、時には初めて遭遇する人もいる。ふっと人のいる気配を感じることがある。はたしてどうなのかはむろん確認できないけれど、そこを通り過ぎてからも背中に気配を感じるのだ。 『ああ、あの黒い眼鏡の男もこんな気持ちで歩いてたんだな』 こんなとき、賢治は遠くなった昔の光景を不意に思い出す。 ○最後に、ご利用者様からのご希望によりこのコーナーにて料理レシピをお届けします。 今月は、菜の花を使った簡単レシピ、花粉症対策レシピ、それぞれ2品ずつご紹介します。 1.菜の花を使ったレシピ ・菜の花と牛しゃぶのごま和え 旬の菜の花と柔らかい牛肉のしゃぶしゃぶを和えた春の一品。ゴマダレとよく合います。 材料(2〜3人分) 牛肉(切り落とし・しゃぶしゃぶ用等)  150g 菜の花  1/2パック(小) 合わせ調味料 白ごま  大さじ2 合わせ調味料 マヨネーズ  大さじ2 合わせ調味料 ポン酢しょうゆ  大さじ2 作り方 @菜の花は、3cm位に切りさっと茹で、水気を切る。 A牛肉は熱湯でさっとしゃぶしゃぶし、水気を切る。 B白ごまをすり、合わせ調味料を作る。 Cボウルに菜の花・牛しゃぶを入れ、ごまだれを加え、さっくり和える。お皿に盛る。 コツ、ポイント 牛肉の代わりに豚肉でもおいしいです。 ・菜の花の梅肉和え 春の味覚を梅肉の酸味と一緒に楽しめます。 材料(2人分) 菜の花  1束 梅干  大1個 薄口醤油  小さじ1/2 みりん  小さじ1 かつお節  適宜 作り方 @沸騰した鍋に菜の花を投入。再沸騰したら30秒ほどで冷水で冷やし、食べやすい大きさにカットする。 A梅干の種を取り、包丁でたたく。 B茹でた菜の花に梅肉、醤油、みりんを加えて混ぜ合わせれば出来上がりです。かつお節を振ってどうぞ。 2.花粉症対策レシピ ・花粉症対策にも!簡単レンコンステーキ ポリフェノールやビタミンCが豊富なれんこんは、風邪や花粉が気になる季節にはぴったり。免疫力と美肌力をアップしましょう! 材料(4人分) れんこん  180〜200g 片栗粉  適量 オリーブオイル  適量 塩・こしょう  適量 ※照り焼きのソース しょうゆ  大さじ1 みりん  大さじ1 酒  大さじ1 はちみつ  大さじ1 作り方 @れんこんは皮つきのまましっかり洗います。 A厚さ1pの輪切りにします。 B断面に片栗粉をまぶします。※空気に触れると変色してしまうので、手早く片栗粉をまぶしましょう。 C[ポイント]袋にれんこんを入れて片栗粉をまぶすと、手早くまぶせて、洗い物も少なくなりおすすめです。 Dフライパンにオリーブオイルを入れ熱します。 Eれんこんを並べ、塩、コショウをふり、中火で両面にキレイな焼き色がつくまでじっくりとソテーします。 F焼けたられんこんをお皿に移します。 Gソースを作ります。 しょうゆ:大さじ1 みりん:大さじ1 酒:大さじ1 はちみつ:大さじ1 Hレンコンを取り出したフライパンに、あらかじめ混ぜておいたソースを入れ煮立たせます。 I盛りつけて完成です。ミニトマトや大葉なども添えるとキレイです!     ・新玉ねぎ大根のわさびキャベツサラダ 花粉症に良いと言われる、玉ねぎ、わさび、大葉を入れてサラダを作ってみました。 材料 キャベツ  4枚 大根  5cm 新玉ねぎ  1/2玉 わさび  2cm位 だしの素  小さじ1 塩  適量 大葉  6枚ほど 白いりごま  大さじ1 作り方 @キャベツ、大根、玉ねぎを千切りにして塩ひとつまみをもみこみ30分ほど置く。 A大葉を千切りにする。@をぎゅ〜っと絞り水分を絞りだす。 B全ての材料を和えて完成です。 以上、「cook pad」掲載記事から抜粋しました。 他に何か、ご希望・ご意見がありましたら、お知らせください。 お待ちしております。