4.みんなの広場 秋田市の浅井成雄《あさいしげお》さんより投稿いただきました。 「江戸文学もエード」 浅井成雄《あさいしげお》(六十代) 平安だけが古典じゃない 私もそうでしたが古典というととかく平安朝に片寄りがちだ。近世江戸の文学を忘れてならじ。ムラッ気の多い私は早速、江戸に首を突っ込んだのです。 江戸期後半には職業作家が登場しました。さらに版木による印刷術も登場しベストセラーが出廻りました。そんな中から二冊のタイトルを選んでみます。 東海道中膝栗毛 (十返舎一九《じっぺんしゃいっく》) 今年はこの作品だか作者が何か記念の年だそうで、NHKラジオで連続講座をやった。すぐ調子に乗る私は勿論聴きました。ご存知弥冶さん喜多さんお伊勢参りの珍道中である。伊勢志摩サミットもあったし。・・・関係ないか。 江戸を出た二人は最初の宿で風呂の底を踏み抜くなど、ドタバタ劇を繰り拡げる。四字熟語の抱腹(・・)絶倒(・・)はまさにこの本のためにあるのではないかと思います。 そ・し・て、その笑いには下ネタが多い。私はニヤッとするけれど露骨だし現代ならセクハラだ。だから売れたのだろうな。 た・だ・し、デイジーにこの部分はない。原本がポプラ社刊で子供も読むからかな。私はいつも参考にするデイジー「日本語の古典」で原文を知りました。 雨月物語(上田秋成《うえだあきなり》) 前項のこっけい(・・・・)本とは打って変ってこちらは怪奇の世界です。子供の頃に読んでさし絵が怖かった憶えは前に書きました。崇徳院《すとくいん》の亡霊が歌よみの西行《さいぎょう》に生前の怨念を語る場面だった。 こういった短編が九つ、この本に収められている。デイジー原本の現代語訳は円地文子。原文の味が残る文章で、それだけに物語の趣きが伝わってきます。 第二話に有名な「菊花の契り」があります。翌年九月九日の再会を約して別れた武士。お家騒動で捕われの身となった。そこで自害して死霊と化して遠路出かける、という筋だ。 武士の誉れ、と読んでいたら解説によると、この話のテーマは男色趣味とあった。そうだとしても約束を守る大切さは変わらないだろう。 ひと言 東海道中には目の見えない者をからかう件りが何箇所かある。あとで天罰を受ける筋立てにはなっているが、不愉快な思いをする人もいるはずです。 同じ野次・喜多のセクハラにしろ「雨月」の男色にしろ当時のモラルが容認していたのですね。古典(広く戦前まで含めましょう)を読む場合は、差別語などもその時代の作品と理解して気をつけなければなりません。 (おわり) 視覚障害者俳句サークル「千秋句会」さんより俳句の投稿いただきました。 ・古鍋の 香りも混ぜて 芋を焼く  萩野 けい さん ・日旅して 借りる軒なし 秋時雨  熊谷 幸二郎 さん ・古寺の 桜紅葉に 手を合わす  宇佐美 咲子 さん 三種町《みたねちょう》の武田金三郎《たけだきんざぶろう》さんより投稿いただきました。 秋田県一短い小説・その三 ムク 武田 金三郎 夫の弥市が朝の散歩に出たと思ったらもう帰ってきた音がする。いつもの半分に満たない時間ではないか。キヨは不審に思って玄関に出てみると弥市が背を丸めて上がり框に腰を掛け、開いた足の間に両手を伸ばしてブツブツと呟いている。怪訝に思ったキヨは土間に下りて覗くと汚れた犬がいるではないか。子犬というには大きすぎる。 「父さん、どうしたのその犬」 キヨは半ば叫ぶように言った。 「ムク、いであった」 弥市が聞き取りにくい声で呟く。七十六歳を過ぎたあたりから認知症とも取れる行動が出てきて、八十歳の今では一人での散歩が心配になってきている。捨て犬なのか迷い犬なのかを拾ってきたらしい。キヨは途方にくれた。 へたに注意するといきなり突き倒されることがある。これでどれほどなさけない思いをさせられてきたことか。今の弥市に犬など飼えるはずはない。 キヨは途方にくれるしかなかった。 少年時代、弥市が初めて犬を飼ったのは小学三年生のことであった。友達の家で子犬が産まれたのを貰ってきたのである。毛むくじゃらであったのでその犬はムクと名づけられ、弥市が一切の世話をする約束で飼うことが許されたのであった。 ムクは一年を過ぎたあたりには大きく育ち、男の大人並みにご飯を食べるようになっていた。 「弥市、ムクはもっと大きくなるぞ。父さんが別の子犬を貰ってくるからそいつを放してやれ」 「嫌だ!」 父が言ったのに弥市は即座に返した。家には九人の家族がいる。ムクみたいな犬にこれ以上メシを食わせて育てるわけにはいかない。そんな話しをしていたこと、弥市は聞いてしまっていた。 ある日弥市が学校から帰ると、いつもなら尻尾を振って真っ先に出迎えてくれるはずのムクがいなくなっていた。ムクが食われてしまう。その前にムクを探さなければならない。村には犬を喰う荒くれた若者たちがいるのだ。 弥市は家にランドセルを投げつけて飛び出し、村中を駆け回って探した。 翌日も、その翌日も探したがムクはみつからなかった。ムクはそうして弥市の前から消えた。 ムクが玄関でクーンクーンと鳴いている。ひと晩中泣き明かすに相違ない。 夫の弥市がいびきをかいて深い眠りについてくれた。睡眠薬を常用しているから朝まで目を覚ます心配はない。キヨはそっと夜具から身を起こす。ムクをどこか遠くに連れていかなければならない。朝になって夫の弥市が目を覚ましたときはもうムクのことなどすっかり忘れているはずだ。キヨがムク、と夫によって名づけられた犬を胸に抱き上げた。 最後に、ご利用者様からのご希望によりこのコーナーにて料理レシピをお届けします。 今月は、今が旬の食材を使った身体に優しいレシピをご紹介します。 豆腐ときのこの簡単グラタン  豆腐に含まれる大豆たんぱく質には血液中のコレステロールの低下や、血圧上昇を抑制するなど動脈硬化を防ぐといわれています。 材料(2人分)   木綿豆腐  1丁(300g)   有塩バター  大さじ2分の1(6g)   しめじ  3分の2パック(60g)   乾しいたけ  3枚(4g)   ほうれん草  3分の1束(60g)   焼きのり  2枚(4g)   ホワイトソース  大さじ2と3分の2(40g)   プロセスチーズ  大さじ1と3分の2(10g)   黒こしょう  少々 作り方 @木綿豆腐はキッチンペーパーで包み、耐熱容器に入れてレンジで1人分:500Wで30秒加熱し、水気をとって3p角程度に切る。 A有塩バターは冷蔵庫から出しておく。 B乾しいたけは、たっぷりの水で1時間程度浸して戻す。ほうれん草はたっぷりの湯でさっと茹で、長さ3〜4pに切る。 Cしめじは石突をとり、Bのほうれん草と一緒に茹でる。 Dグラタン皿にA(有塩バター)を塗り、木綿豆腐、しめじ、乾しいたけ、ほうれん草を盛る。 EDにホワイトソース、プロセスチーズをのせ、黒こしょうをふる。 FEをトースターで色がつく程度まで焼き、ちぎった焼きのりをのせて出来上がり。 切り干し大根の和風カレー煮 食物繊維やカルシウムが豊富な切り干し大根。また体内の余分な塩分を排出するカリウムも豊富。カレー味で塩分対策にもオススメです。 材料(2人分)   切り干し大根(乾燥)  20g   にんじん  6分の1本(20g)   干ししいたけ(生しいたけ)  1枚(2g)   合わせ調味料 めんつゆ(濃縮3倍)  小さじ4分の3(4g)   合わせ調味料 干ししいたけの戻し汁  140ml   合わせ調味料 カレー粉  小さじ2分の1(1g)   青のり  少々 作り方 @切り干し大根はさっと水洗いしておく。干ししいたけはぬるま湯でもどしておく。(生しいたけは薄切り)にんじんは千切りにする。 A鍋に合わせ調味料を煮立て、@の具材を入れる。途中かき混ぜながら、煮汁がなくなるまで煮詰める。 器に盛り、トッピングに青のりをふりかけて出来上がり! 以上、「cook pad」掲載記事から抜粋しました。 他に何か、ご希望・ご意見がありましたら、お知らせください。 お待ちしております。