5.おらがた あきてん おらがた かしだし  今年の夏は残暑が厳しく、9月に入っても暑い日が続きました。我が家の電気代はうなぎのぼりです。  皆様、体調は大丈夫でしたでしょうか。しばらくお声が無いなと思っていたら、体調を崩して休養していた方も何人かおられました。それでも皆様大事に至らなくてよかったです。  書庫の窓から見える石鹸の木《エゴノキ》が暑さのためか、仮死状態です。これから涼しくなったら起死回生なるか!と毎日眺めています。もう目の前には嬉《うれ》し哀《かな》しや「食欲の秋」が来ています。  先月、芥川賞に村田沙耶香《むらたさやか》氏の「コンビニ人間」、直木賞に荻原浩《おぎわらひろし》氏の「海の見える理髪店」が受賞しました。どちらも他館の新刊案内で紹介していますので、内容は省略しますが、点字版デイジー版共にお貸し出来ます。  私は、荻原浩氏の小説が好きです。ひとつあげるとしたら、2004年に刊行された「明日《あした》の記憶《きおく》」。これは感動しました。小説より先に映画をみて、涙しちゃいました。渡辺謙が主人公を、樋口可南子がその妻というキャストです。  齢《よわい》50にして若年性アルツハイマーと診断された主人公と周りの人たちのかかわりや愛情が丁寧に描かれています。なにより、自分の意志とは関係なく記憶がなくなる恐怖は、身近に起きうることかもと思うと、胸が締め 付けられます。もしかして、私もアルツハイマーか?とドキドキしました。  同じ頃、小川洋子《おがわようこ》著の「博士が愛した数式」という本に出会いました。交通事故による脳の損傷で記憶が80分しか持続しなくなった元数学者 「博士」と彼の新しい家政婦である「わたし」とその息子である「ルート」の心のふれあいを美しい数式と共に描いたものです。映画も見ました。80分前のことが記憶からなくなるので、通いの家政婦と毎朝自己紹介して一日 が始まります。人間の脳の神秘を感じられます。  どちらもお貸しできます。またシネマデイジーもありますのでお問い合わせください。 8月15日、東京メトロ銀座線で、視覚障害者で盲導犬を連れていた品田さんがホームから転落し、死亡するという痛ましい事故がありました。 生活していくうえで身近にどのような危険が潜んでいるか前もって察知することが出来れば最善ですが、残念ながら、事故などが起きてしまってから気づくというパターンが多いと感じます。 現場を検証した東京都盲人福祉協会の笹川《ささがわ》会長は、「周りの人が『大丈夫ですか』と声を掛けるだけで防げる。声掛けできる人が増えてほしい」とコメントしています。 周りの意識は重要です。点字図書館は、こういった問題も皆様と一緒に考えていきたいと思います。皆様からのご意見などがありましたら、お聞かせくだされば、私共も勉強になります。 さて、貸し出しからお知らせします。 9月から貸し出し担当に新人が入りましたのでご紹介します。 出川美貴子《いでかわみきこ》さん。スポーツ万能のスレンダーな30代です。なにしろ、趣味がスポーツという強者です。最初は戸惑うことも多いでしょうが、皆様の叱咤激励も力になると思います。どうぞよろしくお願いします。 へこたれません、がんばります。と本人が申しております。