6.みんなの広場 皆様から投稿していただきました。 俳句の投稿 熊谷幸二郎さん ドクダミの花の一輪紙コップ 萩野ケイ (どくだみのはなのいちりんかみコップ) 椅子置いて老の憩える菖蒲園 宇佐美咲子 (いすおいておいのいこえるあやめえん) お互いの照れを包みしラベンダー 柿崎妙子 (おたがいのてれをつつみしラベンダー) 故郷は辺りかまわぬ行々子 熊谷幸二郎 (ふるさとはあたりかまわぬぎょうぎょうし) 武田金三郎さんの投稿 エッセイ風自分史・三郎 その一五  数学教師加藤寛 武田金三郎 私は小学時代は算数が、中学なら数学、高校でも数学が一番に好きであった。時間割に数学がない曜日は物足りないほどなのだ。 高校での数学担任が加藤寛先生であった。彼ほどの暴力教師はたぶんいない。体躯は痩せ型もいいところ、眼窩《がんか》が窪《くぼ》み、のみならず狂気じみた不気味さを漂わせているのであった。言葉も態度も乱暴そのもの、彼の口から並みの言葉が出るのを聞いたことがない。プラス空手をやっていたというから私以外は恐怖の数学であったのでは。 私も何回となくやられた。 にもかかわらず、加藤先生は授業に熱が入るとしばしば次の授業を横取りし、二時間ぶっ通しをやってしまう。横取りされる教科担任に伝達に行かされるのは常に私であった。 加藤先生はしばしば以上に生徒を指名して解答を板書させた。ここでモタモタしているといきなりゲンコツを喰らう。幾何《きか》の授業で私が木製定規《じょうぎ》を黒板にあてがいながらモタついていると、いきなり木製定規を奪われて頭をしたたか撃たれ、出血する怪我をした。 「武田、ちょっと来い」 木製定規は職員室の壁に掛けられていて、授業で必要なときはここから持っていき、終わると戻しておかなければならない。その日、職員室の机にふんぞり返っていた加藤先生に呼びつけられてしまった。 「武田お前、あんなところでモタついてどうするんだ、えっ。線分C,Tと並行する補助線を点Pから引けばどうなるんだ。そんなことに気がつかないのかお前、えっ」 職員室中に聞こえるベランメエ口調ではあったが、しかし紙にサラサラと図を描きながらちゃんと教えてくれるのだ。 「二年生になったとたんダメになったなおまえ、えっ。どうしたんだ、えっ?」 これには堪《こた》えた。目の疾病《しっぺい》で退院後、私は教科書も含めて文字を読むのを避けていた。再発が怖かったのである。 五十歳のときの同級会であった。ここに加藤寛先生が招かれていた。どうしてだか彼はクラスのはみ出し連中に慕《した》われていた。彼等が旅館まで手配して招待したのである。 「武田お前も萱草(かやくさ)の七面様(しちめんさま)にお篭《こも》りしろ。俺もそれで病気を治したんだ」 これには動転した。あの加藤寛が何日かはともかく、お堂に篭《こも》って身を清める修業めいたことをしたというのだ。七面様は阿仁町萱草《かやくさ》にあり、ここの御札は私の実家にも祀《まつ》ってあった。加藤先生がいる秋田市まで敷衍《ふえん》していたとしても不思議ではない。けれどあの彼がこともあろうにお篭りとは。驚天動地とはこのことだ。 それから間もなく、加藤先生が自分の息子に暴力をふるって大怪我をさせた、と秋田魁新報紙に報じられたことを同級生の小玉正義から知らされた。命にかかわるほどの大怪我であったという。七十歳半ばになっていたのにあの狂気をいまだ持続させていたとは。あきれるべきだろうけれど、私には憐憫《れんびん》を禁じ得なかった。 斉藤明子さんの投稿 こんにちは。以前、田中さんと話したこと、文章にしてみました。 最近、「煎り酒《いりざけ》」という不思議なものいただいたので少し話したいと思います。「煎り酒」と聞くと、どんな一字が浮かびますか? 私も酒というからなんだろうと、首を傾《かし》げました。 「煎り酒」というのは、室町時代から続いている日本酒に、梅干しを入れ煮詰めて作る醤油の一種です。 味は、梅とお酒、だしの優しく深い味でした。色は一見醤油の色にも見えますが、器にいれると、ほんのり完熟梅みたいな薄いピンクです。使い方はオールラウンドで、納豆や冷奴《ひややっこ》、サラダ、フライや天ぷら、煮物や炒めものと多種多彩につかえるようです。醤油ともドレッシングとも違う不思議な調味料です。これが商品化されていて、取り寄せして使っている人いるんです。 どこで知ったかというと、おとくいの時代小説を読んでいてでした。 いつの日かその本を紹介したいと思います。時代小説最高です。 斉藤さんからの投稿でした。調べてみますと、「煎り酒」は、家庭でも作れるそうですので、ご紹介します。 煎り酒の作り方(簡単) 吟醸酒に梅干しを入れて煮詰めるだけのシンプルな調味料ですが、お刺身、炒めもの、煮物、サラダなどさまざまなお料理で使うことができる万能さが魅力です。 日本で昔から作られている調味料だからこそ、どんなお料理にもマッチします。 材料 (作り置きしやすい量) 日本酒(風味の良いもの)  300ml 梅干し 5個 昆布 6g 1.酒に、梅干しと昆布を10分程浸けてから、そのまま中火にかけてアルコール分を飛ばす。 2.15〜20分加熱し、自然に温度が下がるのを待って、キッチンペーパーなどでこしたら完成!! 3.残った昆布や梅は、魚等を煮る時に使いましょう。 (クックパットより) 料理のレシピは、来月、ご紹介したいと思います。 ○皆様からの投稿について 「点字図書館だより」に、読んだ本の感想や、体験談、短歌・俳句など利用者の皆様からの投稿をお待ちしております。 お預かりした作品は、「点字図書館だより」内「みんなの広場」でご紹介させて頂きます。 (送付先) 〒011-0943 秋田市土崎港南3丁目2の58 秋田県点字図書館 (FAXを利用の場合は) 018-845-7772 (メールを利用の場合は) アドレスtenji@fukinoto.or.jp いずれも「みんなの広場」係まで お電話での聞き取りでも可能です。