3.今月のオススメ図書 今月は、「そして,バトンは渡された」で本屋大賞を受賞した作家、瀬尾まいこについてご紹介します。 瀬尾まいこが大好きという当館の新人職員、佐藤弥生《みお》さんに紹介してもらいましょう。 題して、「ミオが選ぶ、瀬尾まいこベスト5」。 一位 幸福な食卓 内容:父さんが自殺を失敗したときも、母さんが家を出たときも、朝は普通にやってきた。そして、その悲しい出来事のあとも…。とても切なくて、ちょっとおかしくてあたたまる、心にふわりと響く長編小説。 感想:家族という一番近い距離感であるために、話せること、話せないことがある。それでも家族が家族を深く思いやっていて心に染みました。悲しいことや、辛いことがあってもその試練はゆっくりでも乗り越えていけるような気がしました。 二位 卵の緒 内容:僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。代わりに卵の殻を見せて、僕を卵で産んだなんて言う。それでも、母さんは誰よりも僕を愛してくれる。「親子」の強く確かな絆を描く表題作。家庭の事情から、二人きりで暮らすことになった異母姉弟。初めて会う二人はぎくしゃくしていたが、やがて心を触れ合わせていく(「7‘s《せぶんす》 blood《ブラッド》」)優しい気持ちになれる感動の作品集。 感想:「卵の緒」ではユーモアに溢れた母親と素直な子供の会話がほほえましく楽しく読みました。「7‘s blood」では姉弟のすれ違う思いや、お互いを気遣う優しさが印象的で、それぞれのこれからの人生が幸せであってほしいと思いました。どんな生い立ちや状況であっても血の繋がりがなくても、深い絆で結ばれている素敵な2作品でした。 三位 強運の持ち主 内容:元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子や、占いが何度外れても訪れる女子高生、物事のおしまいが見えるという青年…。じんわり優しく温かい著者の世界が詰まった一冊。 感想:占いってもしかして気の持ちようなのかしら?と思いましたが、悩みを抱える人の相談を聞いて、後押ししてくれたら、きっと勇気が持てる。そんな気持ちになりました。占いに行ったことはありませんがちょっと占ってもらうのもいいかな、と思いました。当たるも八卦《はっけ》当たらぬも八卦《はっけ》です。 四位 おしまいのデート 内容:祖父と孫、元不良と老教師、特に仲良くもない同じクラスの男子同士、一緒に講演で犬を飼うOLと男子学生。何気ないのに温かい人と人のつながりを軽やかに描く。 感想:5つのデートを描いた短編小説。特に「ランクアップ丼」が印象的でした。玉子丼がとてもおいしそうで、生徒と先生のやりとりがより温かく感じました。切ないお話でしたが、人生でこんな出会いがあったら、きっと一生大事にするだろうなと思えました。 五位 ありがとう、さようなら 内容:初めてプロポーズをしてくれた相手は、中学校の教え子でした−。学校というルールの厳しい社会の中で、出会いと別れを繰り返し、成長していく生徒たちと過ごした日々を綴ったほっこりエッセイ。 感想:著者の瀬尾さんが中学校の先生をしていた頃のお話。クスッと笑ってしまうようなことや、胸がいっぱいになってちょっと涙ぐんでしまうような出来事。学校では日々思いもよらないことがおきるのだなと思いました。瀬尾さんと生徒の心温まる作品でした。